【アルジェリア人質事件1年】アルカーイダ系 「アラブの春」に乗じ拡散 | 毎日のニュース

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 【カイロ=大内清】アルジェリア人質事件は、北アフリカのアルカーイダ系組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQMI)」元幹部で、同組織から分裂したベルモフタール容疑者の率いる「血盟団」が起こしたものだった。

 同容疑者は思想的にはアルカーイダの「ジハード(聖戦)」思想を信奉し、人質事件後も近隣のマリやニジェールでテロ事件を首謀したとされる。

 「(軍部隊の)介入は、数百の人命を救い戦略的な重要施設を守るためだった」。アルジェリア外務省の報道官は10日、声明でこう述べ、昨年の事件で同国南東部イナメナスのガス関連施設に人質とともに立てこもった武装勢力を武力鎮圧したのは、さらなる犠牲を生まないために必要なことだったと改めて主張した。

 しかし、最近は内戦下のシリアやイラクでも、血盟団と同様、アルカーイダに共鳴しながらも絶対服従はしていないとされる「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」が活動を活発化させている。

 さらに事態を複雑にしているのが、「アラブの春」で独裁的な長期政権が倒れたり不安定化するなどした国々で続く混乱だ。カダフィ大佐が2011年に殺害されたリビアでは12年9月、軍閥化しているイスラム武装組織の襲撃で米大使らが死亡する事件が発生、エジプト東部シナイ半島でもイスラム勢力によるテロが頻発している。いずれの国でも政府の国境管理能力などが弱体化し、過激派の活動が容易になっている。