大失態である。逮捕されたからよかった、では済まされない。
強盗や集団強姦(ごうかん)などの疑いで逮捕されていた容疑者が、横浜地検川崎支部から逃走した。近隣の住民の不安は、いかばかりだったろう。
小中学校は集団登下校を実施し、教職員や保護者が見守った。神奈川県警は約4千人態勢で捜索を続け、上空からはヘリコプター、港湾部では船舶が容疑者の行方を追った。住民の不安も、捜索の苦労も、容疑者を逃がした失態の結果だ。検察も警察も、大いに反省すべきである。
容疑者は取調室で、弁護士との接見中に腰縄をずり下ろして逃げた。ドアは無施錠で、立ち会いの検察事務官は所用で席を外しており、巡査部長一人が後を追ったが振り切られ、見失った。
緩んでいたのは腰縄だけではない。検察も警察も、組織として緩んでいたのではないか。
容疑者のサンダルは取調室に残されており、靴下での逃走だった。寒空に耐えかねて民家に立てこもり、住民を人質にとる可能性も考えられた。住民の不安が大きかったのは当然である。