JR北海道の社員が貨物列車脱線事故現場のレール検査データを事故直後に改竄していた問題で、国土交通省は関与した数人と法人としての同社を鉄道事業法違反罪で北海道警に刑事告発する方針を固めた。年明け以降に刑事告発の時期などを調整するとみられる。
JR北海道をめぐっては9カ所の保線部署でレール検査データの改竄が既に判明しているが、事故現場での改竄は再発防止に向けた原因究明を妨げる極めて悪質な行為と判断した。鉄道会社の社員が同法違反罪で刑事告発されるのは初めてとみられ、JR北海道を巡る一連のトラブルは刑事事件に発展する公算が高まった。
事故は9月19日午後6時5分ごろ、函館線大沼駅構内(北海道七飯町)で発生。6月に脱線現場近くで計測した基準値を超えるレール幅の異常な広がりが実際には39ミリだったのに、事故の約2時間後に25ミリと改竄されていたことが今月に入って発覚した。
JR北海道によると、事故当時の午後8時ごろに現場を管轄している大沼保線管理室の保線担当者2人がデータを改竄し、さらに午後10時ごろには上部組織である函館保線所の社員1人が、他の数値との整合性を取るために周辺の計測値も改竄するよう指示したことを認めた。
現場付近のレールで補修が必要になる基準値は19ミリで、2倍超の数値が大幅に小さくされたことになる。9月の事故までに脱線する限界値の43ミリを超えていた可能性も指摘されている。
同社に対し無期限で特別保安監査を行っている国土交通省は、改竄の動機や背景、組織的関与の有無などを詳しく調べている。
鉄道事業法では、鉄道会社が国に虚偽報告するなどした場合は100万円以下の罰金を科すと規定している。