【マニラ=吉村英輝】台風30号の直撃を受けたフィリピン中部レイテ島などの被災地では12日、同島タクロバンの空港を拠点にフィリピン軍が支援物資の配布に乗り出すなど、救援活動が本格化した。日本など海外の新たな救援隊も同日現地入りするほか、米国は香港に停泊していた原子力空母ジョージ・ワシントンに救援のため出動を命じた。
一方、西太平洋で発生した新たな熱帯低気圧が同日、ほぼ同じルートでフィリピン南部ミンダナオ島に接近。この影響で被災地では2次災害が懸念される。
現地からの情報によれば、タクロバンの空港などに集積された水、食糧などはフィリピン軍などが被災した人々に配布している。被害状況の把握は依然難航しているが、小型発電機や通信機器もレイテ島に到着し、台風で寸断された電気や通信の再開も同島では進み始めた。
ただ被害はボホール島、サマール島など隣接の島々でも深刻な状況。一部の地域では治安や衛生状態がきわめて悪化している。
日本政府が派遣した医師や看護師、薬剤師で構成する国際緊急援助隊の医療チーム20数名は12日、タクロバンに入りし、被災地での救援活動に加わる予定。現地では、沖縄から派遣された米海兵隊員約90人が11日に展開している。
米第7艦隊の空母ジョージ・ワシントンのレイテ島沖派遣は、ヘーゲル米国防長官が11日(米東部時間)発表した。随伴する巡洋艦などとともに香港海域から48~72時間で到着する。