猛烈な台風30号の直撃を受けたフィリピンでは、中部のレイテ島を中心に950万人が被災し、死者は1万人に達する恐れも出ている。
政府は、取り急ぎ国際緊急援助隊の医療チーム25人を派遣したが、今後とも最大限の支援を行うことはアジアの友人として当然だ。日比の絆を強め、両国の信頼関係を強固にすることにもつながる。
被災地では、食料や飲料水の不足が深刻で、それにともなう略奪行為など治安状態の悪化に加え、遺体収容の遅れなどによる衛生環境の劣化も懸念されている。
それだけに救援には迅速さが何より重要だ。時間が経過すれば、被害がそれだけ拡大し、被災者の苦痛も増す。政府は自衛隊の派遣も検討しているという。状況は厳しいが、一人でも多くの命を救えるよう支援に全力を挙げたい。
日本の国際緊急援助隊は過去、世界各地に派遣され、各国の救助隊とともに、捜索や医療、支援物資の引き渡しなどの任務に当たってきた。2004年12月のインド洋大津波では、インドネシアに自衛隊の艦船が派遣され、捜索・輸送活動などに貢献した。
10年1月のハイチ地震、同年7月のパキスタン洪水被害の際も自衛隊が支援活動に参加した。道路が寸断されている被災地では、自衛隊の装備が威力を発揮する。
今回、米国はいち早く、太平洋軍にフィリピンでの救援活動支援を命じた。日本は米国と調整して、効率的、効果的な支援を行う必要がある。