拡大の一途をたどる食材偽装表示問題に対し、消費者庁は限られた人員で調査や情報収集を進めている。今後、景品表示法違反の疑いが強い事業者を「取捨選択」し、効率よく調査を進めるとしている。
「ここまで問題が広がるとは驚きを通り越して、腹立たしい」。消費者庁表示対策課の担当者は憤る。同課の職員は約50人。その約半数が“実動部隊”として、景品表示法に抵触する恐れのある事案を調査している。
次から次に偽装表示が発覚する状況に、担当者は「限られた職員で事態に対応するには取捨選択する必要がある」と説明した。同庁は現在、報告を受けた事業者について事実確認を急いでいる。景表法違反の疑いが生じる具体的な情報があった場合には、事業者から資料の任意提出を受けたり、当事者や仕入れ先に聞き取りを行うなど本格的な調査に入るという。
10月に初めて偽装表示問題を公表した阪急阪神ホテルズ(大阪市)の関係者にはすでに聞き取り調査が行われており、調査対象は今後も増える見通し。
こうした調査と並行して、同庁は「再発防止だけでなく未然防止のためにも業界の自浄作用を促したい」(担当者)。同庁は6日のホテル業界に続き、8日には日本百貨店協会(東京)などにも自主的な取り組みを促すように要請。1カ月後をめどに取り組み状況などを報告するよう求めた。