暴力団関係者らへの融資問題に対し、みずほ銀行への責任追及が拡大してきた。衆院財務金融委員会が佐藤康博頭取の参考人招致を決めたが、与野党からは佐藤頭取を半年間無報酬とする処分が甘すぎるとの指摘も出ており、再び佐藤頭取の進退が焦点となる。また問題となった提携ローンを取り扱う金融機関は多く、業界に影響が広がる懸念もある。
「金融庁も認めてくれると思う」
佐藤氏がみずほ銀の頭取にとどまる社内処分について、同行の幹部は祈るようにこう語った。だが、永田町の反応は厳しい。
自民党が10月29日に開いた金融調査会と財務金融部会の合同会議では、出席議員から「たとえ問題を知らなくてもトップが責任を取るべきだ」「金融庁への報告が(事実と)違ったことを許せば、(今後の報告でも)後で修正すればいいということになる」などと厳しい指摘が相次いだ。
霞が関もこうした雰囲気を敏感に感じ取り、みずほへの対応を強めている。対応を誤れば、批判の矛先が監督官庁である自らに向かいかねないからだ。
金融庁は5日、大手銀行3グループに一斉検査に入り、みずほに対しては前回調査で事実と異なる報告をした経緯を厳しく調べている。経済産業省も8日、みずほグループの信販会社オリエントコーポレーションに、問題融資の契約解消に向けた取り組み状況などを報告するよう求めた。
提携ローンは銀行や保険会社などの金融機関が信販会社を通じ、自動車などの購入代金を顧客に融資する仕組みだ。だが、すでに新生銀行でも系列信販会社アプラスを経由した融資に、暴力団関係者らとの取引が明らかになっており、各金融機関はビジネスモデルの見直しを迫られる恐れがある。