東京電力福島第1原発事故後初めてとなる国の原子力総合防災訓練が12日、2日間の日程を終えた。同日午前には九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の炉心が冷却できなくなったと想定し、安倍晋三首相が「緊急事態」を宣言。離島からの空路や海路を使った避難などを確認した。
この日の訓練は午前11時から首相官邸に原子力規制委員会の田中俊一委員長らが集まり状況報告。その間に九電から冷却機能も全て失われたとの一報が入り、放射性物質が漏洩(ろうえい)する危険に陥った-との想定だ。
安倍首相は模擬の記者会見を開き「全面緊急事態が発生した。事態の早急な収束と国民の安全確保を最優先に全力で対処する」と宣言。原発の半径5キロ圏のPAZ(予防防護措置区域)内の住民に即時の避難開始や被曝(ひばく)から守る安定ヨウ素剤の服用などを指示した。
その後、関係閣僚が集まり原子力災害対策本部会議が開かれ、自衛隊の速やかな派遣の実施などの方針を決定。高線量が観測された30キロ圏のUPZ(緊急時防護措置準備区域)の一部住民が避難した。12日夕には、炉心の冷却機能が回復したとして訓練を終えた。