9月下旬、ソウルで朝鮮半島の日本統治時代に動員された戦時徴用訴訟の経緯と見通しをテーマに、原告団の代理人を務める弁護士を招き講演会が開かれた。
「このような訴訟で原告が勝てなければ、韓国が独立した意味がない」
講師として招かれた原告代理人の弁護士、崔鳳泰(チェ・ボンテ)はこう言い切った。原告側が裁判の行方に自信を持つには理由がある。
差し押さえは慎重
昨年5月に韓国・最高裁が新日鉄住金(旧日本製鉄)と三菱重工業の元徴用労働者の個人請求権は消滅していないとする判断を初めて示し、ソウル、釜山の両高裁に差し戻して以降、同様の訴訟が4件出された。今年7月に相次いで企業側に賠償を命じる高裁判決が出されるなど原告勝訴の流れが定着しつつあるのだ。
7月10日のソウル高裁判決では新日鉄住金に元徴用労働者4人への損害賠償支払いを命じた。賠償額は原告1人当たり請求満額の1億ウォン(920万円)。新日鉄住金が韓国に保有する資産の差し押さえの仮執行まで認めた。ただ、崔は日本企業の在韓資産への差し押さえを実行するか問われると、「原告の考え方次第だが、それはしないほうがいい」と述べ、企業側が賠償金を自主的に支払うことを促していく考えを示した。裁判には自信を示す原告団が差し押さえに慎重なのはなぜか。