【福岡市の医院火災10人死亡】医療機器が火元か、無届け増築も被害拡大招く? | 毎日のニュース

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 福岡市博多区の医院「安部整形外科」から出火、入院患者8人と前院長夫婦の計10人が死亡した火災で、焼け方が激しい1階の処置室に置かれていた温熱療法器具を温める機器だけが出火時に電源を使っていたとみられることが12日、分かった。福岡県警はこの機器が火元の可能性もあるとみている。また、医院が約3年前、市に無届けで施設の一部を増築していたことも判明。排煙機能に影響を与えた可能性があり、市は今後、安部龍暢(たつのぶ)院長への聞き取り調査などで実態を解明する方針。

 安部院長は11日の記者会見で、処置室には電源を入れたままで温熱療法器具「ホットパック」を温める機器があり、出火当時、看護師が周辺で火が上がっていると話していることを明らかにしていた。

 一方、増築されたのは建物南西の一部延べ約60平方メートルで、1、2階は吹き抜けのリハビリ室、3、4階は居室などとして使用されていた。リハビリ室には排煙機能のある窓が付けられていたが、2階に相当する場所にあるため開閉は難しかったとみられ、出火当時も閉じられていた。吹き抜け構造が煙突の役割を果たし、煙が上昇しやすい状態だった可能性もある。

 市によると、医院の立地地域は建築基準法に基づき、増築した場合に市への確認申請が必要な準防火地域の指定を受けていたが、医院は届けていなかった。

 県警は12日も福岡市消防局と合同で医院を実況見分。出火原因や計7枚の防火扉が全て開いていた経緯などを調べる。