警視庁が11日に行った記者会見は「池永チャールストーマス容疑者は、警察の留守番電話を聞いて逆上したわけではない」と言いたいがためのものとも受け取れるが、結果的には池永容疑者に対して口頭で警告するための有効な策は、一切打てていなかった事実を明らかにしただけだ。
4人もの誤認逮捕者を出した遠隔操作ウイルス事件で警視庁は昨年12月、誤認逮捕した男性の供述内容について「捜査員による誘導はなかった」とする検証結果を公表した。男性を再逮捕する際、逮捕状に記載された容疑内容を男性に熟読させた後に、犯行を認める上申書を書かせたにもかかわらず、こうした結論が導かれたことに、一部では疑問の声も上がった。
今回の事件で現在行われている内部検証は、鈴木さんのようなストーカー殺人の被害者を、二度と出さないための検証であるべきだ。「殺害という結果は遺憾だが、警察の対応に問題はなかった」とする結論を導くための検証であってはなるまい。(大島真生)