【主張】みずほ銀行 人心一新で出直す覚悟を | 毎日のニュース

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 みずほ銀行の企業統治はどうなっているのか。暴力団組員らへの融資を放置していた問題で佐藤康博頭取は、自身を含む数十人の役員が問題融資を知りうる立場にあったことを明らかにした。

 これまでの説明を180度翻したことになる。その数十人の役員に、問題の解明と信頼の回復に関わる資格はないのではないか。頭取を含む人心を一新して、再生に向かうべきだ。

 わずか4日前に、副頭取が「担当役員止まりで頭取は知らなかった」と会見したばかりで、金融庁にも同様の説明をしてきた。

 説明が一転したのは、副頭取会見の翌日、休日返上で行った調査で頭取が問題を把握していた資料が見つかったためだという。

 資料とは取締役会などで配布されたもので、計8回もこの問題は報告されていた。少なくとも3回の会議には佐藤頭取も出席しており、資料を手にしながら「適切に認識するに至らなかった」のは、「暴力団排除の意識が希薄だった」ためと会見で弁明した。

 隠蔽(いんぺい)を疑われても仕方がなく、にわかには信じがたい説明だが、事実ならなお悪い。銀行のトップには反社会的勢力と対峙(たいじ)する強い意志が求められているはずだ。

 平成22年7月の段階で、今回の問題融資は当時の西堀利頭取に報告されており、改善策が検討された資料もあった。西堀氏も銀行側の聞き取りに事実を認めた。

 検討は、西堀氏一人で行ったものではあるまい。報告書の作成に関与した者も含め、実に多くの行員が暴力団組員への問題融資を把握しながら、放置に加担してきたことになる。

 前身の第一勧業銀行時代に総会屋への利益供与事件で歴代首脳が逮捕され、専務以上が総退陣した反省が、こうもたやすく霧消するものなのか不思議でならない。

 金融庁がこの問題で業務改善命令を出してから1週間も説明の会見を開かず、ようやく行った副頭取の謝罪会見の内容を4日後に頭取がひっくり返した。問題融資の放置も大問題だが、発覚後の対応もお粗末に過ぎた。

 銀行は、取引先に反社会的勢力との関係があれば、融資を打ち切る立場にある。

 当の銀行が暴力団組員への融資を把握しながら放置してきたこの問題は、到底許されるものではないと重く認識すべきだ。