【ワシントン=小雲規生】オバマ米大統領は8日、ホワイトハウスで記者会見し、政府機関閉鎖の影響で東南アジア歴訪を中止したことについて「訪問すべきだった」と述べた。また、中国がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの場で外交攻勢を展開していることを念頭に、自らの歴訪中止で「中国が自らの考えを主張しやすくなった」と述べ、米国のアジア重視政策への影響に懸念を示した。
オバマ氏は歴訪中止で重要な会議に出席できなかったとし、「われわれの世界における信頼を傷つけた」と述べた。一方、長期的にな影響が出るとの見方は否定。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉については、交渉参加国は「米国と協調したいと考えている」と述べ、年内の交渉妥結は可能だとの見方を示した。
さらに米国と中国の間で知的財産保護の強化について意見の相違があることに触れ、TPPで合意が得られれば「中国との交渉を後押しする」と期待感を示した。
また、オバマ氏は政府機関の閉鎖を引き起こしている2014会計年度をめぐる与野党協議の不調の原因について、「共和党が医療保険改革(オバマケア)の破壊に妄執しているからだ」と改めて指摘した。
ただし議会が暫定予算を成立させ、短期的でも債務上限を引き上げるなら、「あらゆることについて協議に応じる」とも表明。医療保険制度の改善や長期債務の削減などについて話し合う用意があるとした。
一方、共和党のベイナー下院議長はオバマ氏の発言を受けて記者会見し、債務拡大を食い止める措置が取られない限り「債務上限は引き上げられない」と話した。