【書評】『おかしいことを「おかしい」と言えない日本という社会へ』 議論すべき問題に声を上げよ | 毎日のニュース

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 なぜ日本では「あたりまえのこと」を堂々と言えないのか。在日エジプト人である著者は、本書の中で問いかける。

 日本社会には日本人自身が声を上げて議論すべき問題が多々ある。歴史認識、在日外国人への生活保護、原発、愛国心や国際感覚の欠如-。挙げればきりがない。日本人自身はなかなか議論をしないし、議論自体が下手だ。

 この国はおかしいことを「おかしい」と発言すること自体に規制がかけられていると著者は言う。

 著者はツイッターで16万人ものフォロワーを持つタレントだ。

 彼女がネット上でひとことつぶやくだけで、その意見は多くの人に拡散されていく。

 自分の仕事の場であるメディアに不都合な発言をした場合、それは自分の食い扶持(ぶち)を減らすことにも直結する。

 それにもかかわらず、著者はツイッターやブログで、日本の問題点について歯にきぬ着せぬ発言を続けてきた。

 ネットユーザーは、そんな著者の覚悟に喝采を送る。

 民主化以前のエジプトは、現在の日本とよく似ているという。独裁政権に支配されていた間、エジプト人はおかしいと思うことがあっても声を上げなかった。今の日本も、そうであると。

 著者は、言うべきことを言わないと、国がどうなるかを知っている。だから日本人が言いたくても言えない日本の問題点に、外国人の身でありながら舌鋒鋭く切り込むのだ。(フィフィ著/祥伝社・1470円)

 祥伝社書籍出版部 竹口栄一