古墳研究の第一人者として天皇陵研究や遺跡保存に尽力し、考古学を身近に紹介する「お茶の間考古学」の草分け的存在として知られた同志社大名誉教授の森浩一(もり・こういち)氏が6日午後8時54分、急性心不全のため京都市下京区の病院で死去した。85歳。大阪市出身。葬儀・告別式はすでに済ませた。喪主は妻、淑子(としこ)さん。後日、お別れの会を開く。
昭和47年に同志社大教授となり、卑弥呼(ひみこ)が中国から譲り受けたといわれてきた三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)について、中国で全く出土していない点などから、日本製との説をいち早く打ち出し、学界の主流だった「卑弥呼の鏡説」を否定。邪馬台国論争に一石を投じた。
宮内庁が指定する天皇陵の調査の必要性も強調し、被葬者を検証。遺跡保存にも力を注いだ。平成24年に南方熊楠賞を受賞。主な著書に「古墳の発掘」「天皇陵古墳への招待」など。