【ワシントン=小雲規生】米国とロシアは9日、ワシントンで外務・国防相会談(2プラス2)を開き、シリア内戦や北朝鮮、イランの核開発問題などへの対応で協力していくことで一致した。ただし今回の会談での具体的な進展は乏しく、米露首脳会談のキャンセルで決定的となった両国関係の悪化が影を落としたかたちとなった。
会談では、シリア内戦終結に向けた国際会議開催の必要性や、核開発が批判されているイランや北朝鮮に対して国際交渉の場に戻るよう促すことで合意。今後も2プラス2会合を両国間の交渉の場としていくことでも一致した。政府高官は「会談は前向きで建設的だった」と話した。
しかし、これらの内容は過去の協議から大きな進展があったとはいえない。シリア内戦ではアサド政権を支援するロシアと、反体制派への武器供与を決めた米国との対立は根深く、国際会議開催の見通しなどについては「発表できることはない」(政府高官)のが現状。イランや北朝鮮についても具体策は固まらないままだ。
また会談では、ケリー米国務長官がスパイ活動取締法違反容疑などで訴追されている米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者の一時亡命をロシアが認めたことについて「失望した」と述べ、改めて容疑者の身柄引き渡しを求めた。しかし双方は今後も協議することを確認したのみで、具体的な進展はなかった。
オバマ米大統領は9日のホワイトハウスでの会見で、プーチン大統領が復帰して以降、「米露対立という冷戦時代の古い発想に陥った反米的な発言が増えた」と指摘。メドベージェフ前大統領時代に核軍縮や国連安全保障理事会による対イラン制裁などが前進したことと比較し、プーチン大統領へのいらだちをあらわにした。
ロシアがスノーデン容疑者の亡命を認めたことで米露間の対立は決定的となった。両国が抱える課題の解決は当面の間、見通せそうにない。