【話の肖像画】現代最高のホームラン打者・松井秀喜(10)国民栄誉賞で野球に責任負った | 毎日のニュース

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 〈東京ドームで5月5日、国民栄誉賞の授賞式が行われた。場内が一番沸いたのは始球式だった。松井秀喜の投球は高く外れ、左手一本で打ちにいった長嶋茂雄元巨人監督は空振りを本気で悔しがった。一番慌てたのは、捕手役の原辰徳巨人監督。主審役の安倍晋三首相だけが落ち着いていた。おそらく、硬球の痛みを知らないおかげだったのだろう〉

 周りの人が「監督は打ちにくる」と話していたので、やっぱり打ってもらいたいなと思いました。外の球では届かないので体の近くに投げようとしたのですが、いきすぎてしまいました。まあよかったと思います。万が一、ファウルチップが首相に当たったら大変でしたから。

 〈長嶋さんと松井の師弟ダブル受賞には、さまざまな声があった。誰より戸惑っていたのが、松井自身でもあった〉

 難しかったですね。正直なところ、自分はいただけないよな、と思いました。そのつもりで監督に連絡もしました。監督はもちろん、まさしくこの賞の名にふさわしい方です。いくら自分の恩師、師匠とはいえ、一緒にいただくなんてもってのほか。そもそも自分はそんなことしていないよな、この賞をもらうほどのことを俺ってしたのかと、そう思いました。

 まあ、監督に電話して、「いいじゃない。一緒に行こうよ」と言われて、それで終わっちゃったんですけどね。監督と一緒でなかったら? 絶対にもらっていないですよ。だって、監督が「一緒に行こうよ」って、それで終わりなんですから。はあ、そうですかって。