平成13年10月20日の朝、NHK朝ドラを見ながら、一人で
朝食後、ゆったりのんびりしていた時でした。
フッと思いが込み上げてきて「これから、仙台へ行こう!」と、
立ち上がりました。
ちょうど、主人は昨日から友人と旅行中で留守だったのでした。
ここ数年、個人的自由時間を持てなかったため、以前から
従妹の住んでいる仙台へ行く事を願っていたのでした。
取りあえず、食器を片づけて、洗濯物を家の中に入れて、
身支度をして、家を飛び出しました。
途中で手土産を買ってから、最寄りの駅で東京発09時40分の
新幹線の切符を買い求めて、電車に飛び乗りました。
そして、東京駅に下車してからも、新幹線のホームまで
走ったのでした。
新幹線のホームには、直ぐに乗車する人たちの列が出来て
いました。
急いで列に並んでから、携帯電話で近所に住んでいる息子宅へ
掛けましたら、お嫁さんがとても驚いて居りました。
2時間20分程の乗車時間でしたが「一人旅」の幕は上がったのでした。
仙台駅には、12時頃着きました。駅の案内所で住所書きを見せて
駅前のバス停を教えて貰って、だいぶ時間があるので、ホテルの
予約を済ませてから、バスを待つことになりました。
そして、空気が澄んでいて大変に心地良いことに気が付きました。
「思い切って行動してよかった・・・」と、あらためて思いました。
いよいよバスの時間が迫って来た時、一人の女性が現われました。
「どちらからですか?」と、声をかけて下さいました。
「横浜から今着いたばかりです、○○という所まで行くのですが・・・」
「私もそこまで乗って行きますので・・・」と、云われました。
目的のバス停で降りて、彼の人から従妹の家へ行く道順を教えて
頂いてから、感謝を述べてお別れをしました。
お陰様で迷わずに訪ねる家に着く事が出来ました。
急に出かけて来た故に、従妹は友人たちとお出かけをして留守でしたが
ご主人と娘さんが迎えて下さいました。
30分ほどしてから、娘さんはお仕事に行き、私は仙台の街を散策する
ために、一旦お別れをする事にしました。
無口のご主人がバス停まで送って下さいましたが、何か悪いので
帰って頂きました。
そして、一人でバスを待って居りました。
誰も通りかからず静かな時間でした。
その内に、一人のご老人が向うから歩いて来て、時刻表を見てから
「中々来ないね」と・・・
「仙台駅まで行きたいのですけれど・・・」と、思い切って言葉に出しましたら、
「じゃあ、地下鉄の駅まで歩きますか?」「お願いします」
とても、気さくな方でお話をしながら地下鉄の駅まで案内をして頂く事に
なりました。
ご老人はお齢は78歳(その時、私は63歳・・・まだ、若いつもりで居りました)
戦争前に東京の大井町に居た事があると云われ、話題は弾みました。
そして、地下鉄の駅に着きまして、ご老人は仙台駅方面とは反対側の
ホームとのことで、お礼を云ってお別れをして歩き出しましたら「送りますよ」
と、わざわざホームまで来て下さいました。
直ぐに電車が入って来ました、
ご老人は、ニコニコ笑って手を振って見送って下さいました。
あれから、10年の月日が経ちました。
もう、お顔は定かではありませんが、私の中では、今もご老人が笑って手を
振って下さって居るのです。
仙台駅前より市内観光バス「るーぷる仙台」に、乗って、「瑞鳳殿」
「青葉城跡」をゆっくり見物してから、ホテル「仙台プラザ」に着きました。
そして、従妹宅へ電話をして明日は会える事になるのでした。
うす暗き 堂に居並ぶ 五百羅漢
面影見つけ 懐かしむわれ
御面に 見覚えあるような 錯覚に
陥るわれに 笑み給うなり