3月27日付、神社新報に、新著「艮斎間話 全現代語訳」(明德出版社)の書評が掲載された。

原文を訳したのは私安藤智重で、元郡山女子大教授小阪康治先生に倫理学的註釈を加えていただいた。

 

神社新報とは、全国の神社関係の情報を載せる新聞である。

 

書評を書かれたのは、國學院大學兼任講師大貫大樹氏である。

見出しに、「幕末の名著を現代語訳 世に今日的意義を問う」とある。

抜粋すると、次の如くである。

 

「通覧するだけでも儒学思想の要点は充分に学べる」

 

「漢土の人物や歴史については詳細な註釈が附されており」

 

「本文の内容を現代社会に置き換えながら解説した「倫理学的註釈」を読めば、艮斎の教えが持つ今日的意義をも知ることができる」

 

「艮斎間話の主眼とするところとは読者が儒学の教えを体認し、以てそれぞれの立場で学問を実践せしむる点にある。艮斎は単に智だけを求めるのではなく、飽くまでも実学を重んじた」

 

「彼は時代に応じて学問も変化させていく必要を力説する。かような主張の背景には、朱子学者でありながら陽明学のみならず、時には老荘、また仏説に至るまで、有用ならば積極的に取り入れていく艮斎に特徴的な学風があった」

 

「艮斎の基本的思想とは「足るを知る」ことであり、この考えは彼の説いた政治論や国防論などにも通底している」

 

「父子・兄弟・夫婦が相和しておれば、それに勝る幸福などあろうはずがない」

 

「物質的豊かさのみを求める精神的貧しさ、分不相応な願望を満たさんとする私欲がいかに有害であるかを痛感せしめ、真の幸福を教示しながら、自らのなすべき責務について自省を促す艮斎の言とは、現代においてもなお色褪せるものではなく、傾聴すべきである」

 

「安積艮斎の教えを平易に理解できる工夫が随所に施された本書は、東洋思想の入門書として恰好な一冊であることはもとより、人格の陶冶を志す者にとっても平素からの修養に資するに違いない。ぜひ、一読されんことを諸賢に推す次第である」

 

以上、大貫氏による書評の抜粋である。

 

『艮斎間話 全現代語訳』の勘所を、深いご学識を以て的確にご紹介いただいた。ただただ感謝するばかりである。