安積艮斎門人・咸臨丸提督・木村芥舟の書幅をヤフオクで落札購入しました。

さっそく読んでみました。

 

 度佐野嶺(佐野嶺を度る)  芥舟老漁毅

 

超然生翮上蒼穹   超然として翮(はね)生じ蒼穹に上る

危磴崚嶒一綫通   危磴崚嶒 一綫通ず

花写柳描飛鳥外   花写柳描 飛鳥の外

帆酬山答遠波中   帆酬し山答ふ 遠波の中

十州祖業因刑勝   十州の祖業 刑に因りて勝ち

百代綿謀仰棟隆   百代の綿謀 棟を仰ぎて隆し

猶訝風雲従指顧   猶ほ訝る 風雲の指顧に従ふかと

駐笻太息憶英雄   笻(つえ)を駐めて太息し 英雄を憶ふ 

      *上平一東

○佐野嶺 佐野峠(山梨県南巨摩郡南部町)。駿河湾が眺められる。 ○十州 十洲。仙人の住む島。日本。 ○英雄 徳川家康。

 

羽が生え、超然として青空に上るような心地だ。

高山の険しい道が一線通じている。

飛ぶ鳥の向こうは、花や柳が画に描いたように美しい。

遠くの波(駿河湾)では、舟と山が酬答しているようだ。

日本統治の祖業は、法整備によって抑制され、

百代につらなるはかりごとは、棟を仰ぐほど高い。

風雲までもその指図に従うのかといぶかり、

杖をとどめて大息し、英雄を思う。