「英語は言葉なのだから、習うより慣れよ」的なことをよく聞きます。
年齢が下がれば下がるほど、そうだと思います。
ですが中学生くらいになったら、もうそういった考え方だけではきついのではないでしょうか。
さらに、実用的に英語を使えるという目的の前に、英語は受験生にとっては最重要科目です。
しっかり理解できていないと、点数が取れないのです。
そして、英語が苦手な生徒を見ていますと、基本中の基本が抜けているように思うのです。
たとえば「私はサッカーをしません」という文章を、中学3年生でも平気で、I am not play soccer.みたいに書いたりするのです。
英語はまず、主語+動詞の順番だという理解が必要です。
主語とは「~が」「~は」に当たる部分です。
そして主語は、全部で6個の部屋に分類できます。
1人称単数形(私は)、1人称複数形(私たちは)。
2人称単数形(あなたは)、2人称複数形(あなたたちは)。
3人称単数形(私とあなた以外の世界のすべての単数)、3人称複数形(私とあなた以外の世界のすべての複数形)です。
動詞とは、日本語では文の最後に来るものです。
たとえば「私は中学生です」でしたら、動詞は「です」です。
「私は昨夜、コーヒーを飲んだ」でしたら、動詞は「飲んだ」です。
日本語で最後に来るものが、英語では2番目に来ます。
さらに動詞は「be動詞」と「一般動詞」に分けられます。
be動詞は、「だ、です、いる、ある、なる」しか意味がありません。
それ以外はすべて一般動詞になります。
なので最初にやることは、英作文の際に日本語で主語と動詞に〇をつけさせます。
主語は「~が、~は」だし、動詞は日本語では文の最後にあります。
次に動詞がbe動詞か一般動詞かを区別させます。
「だ、です、いる、ある、なる」以外はすべて一般動詞だと教えます。
そうしましたら、作った文章の否定文、疑問文を作らせます。
まずbe動詞です。
たとえば、You are a student.という文があります。
疑問文なら、Are you a student?
否定文なら、You are not a student.です。
次に一般動詞です。
たとえば、You like music.です。
疑問文なら、Do you like music?です。
否定文なら、You don`t like music.です。
一般動詞の文で「三単現のs」という特殊ルールがあります。
主語は6つしか部屋がないと書きましたが、三人称単数形(私とあなた以外の世界のすべての単数形)が主語のときは、動詞にsをつけます。
たとえば、Tom likes music.のようになります。
疑問文は、Does Tom like music?
否定文は、Tom doesn`t like music.
一般動詞の疑問文と否定文は、普通はdoを使いますが、doに三人称単数形のsがついてdoesになったから、元々動詞についていたsはなくなって、動詞の原形になると教えます。
さらに過去形です。
be動詞の場合は、am,is→are、are→wereになります。
am,is→areの場合は2文字→3文字、are→wereの場合は3文字→4文字と教えます。
疑問文、否定文の作り方は、現在形と全く同じです。
一般動詞の場合は、普通は動詞にedをつけます。不規則変化は覚えます。
疑問文、否定文はdidを使います。
たとえば、Did you play soccer?
You didn`t play soccer.です。
実は英語の基本中の基本はこれだけです。
ですが、中学生でもけっこうの数の生徒が、ごちゃまぜになると、簡単な英作文もできなくなってしまいます。
たとえば「トムは音楽を好きではない」
まず主語と動詞に〇をつけます。
主語はトム、動詞は好き、です。
好き、は「だ、です、いる、ある、なる」以外なので、これは一般動詞の文です。
主語を見ると、トムは私とあなた以外で一人なので、三人称単数形です。
その否定文なので、don`tではなくてdoesn`tを使うことになります。
なので、Tom doesn`t like music.が答えになります。
さらに「去年トムと恵子は学生だったか」
まず主語と動詞に〇をつけます。
主語はトムと恵子、動詞は、だ、です。だ、の文章なのでこれはbe動詞の文章です。その過去形の疑問文です。
主語が複数形のときは、必ずbe動詞はareを使います。
その過去なので、are(3文字)→were(4文字)です。
be動詞の疑問文ですので、主語と動詞をひっくり返せばよく、Were Tom and Keiko students?になります。
英語が苦手な子や、英語の習い始めの子は、徹底的に、be動詞と一般動詞の違いによる疑問文、否定文の作り方、三人称単数形の文の作り方、過去形の文の作り方を練習すれば、必ずできるようになります。
なぜかといえば、言葉というのは「誰が○○をした」という、主語と動詞が根幹であり、その本質的な理解があれば、あとは知識を増やしていくだけなのです。
英語が苦手な子というのは、言葉がすべて同じ重さで見えてしまっているのです。
ですが主語と動詞は重く見えなくてはなりません。
長い文を読む際にも、主語と動詞に〇をつけて読んでいけば、すぐに文の骨格がわかってきます。
「いろいろごちゃごちゃ書いてあるけど、結局○○が△△したってことね」と、幹の部分を掴めるようになってきます。