私は、ドリブル重視で子どもたちを教えています。
その最も大きな理由は「相手の逆を取る」ということを、感覚として身につけてほしいからです。
よく、日本代表には戦術がない、という論調があります。決まりごとがないともいいます。
ですが私の推測では、ヨーロッパ最先端のチームでも、そんなに緻密な決まりごとはないと思います。
ただ、本質的な志向の違いはあると思います。
どういうことかといいますと「味方を見てサッカーをやるか」「敵を見てサッカーをやるか」だと思っています。
味方を見てサッカーをやる人で、今一番人気な人がレオザフットボールさんでしょう。
「サイドバックの立ち位置はペナルティエリア幅」「ウイングはファジーなポジション」「ディフェンスはT字」など、システム的なことを最重視しているように私には思えます。
対して、敵を見てサッカーをやる代表格が、風間さんでしょう。
基準が「敵」なのです。見方がどこにいるかではなくて、敵の背中を取るという共通認識をもって、プレーします。
私は本質的には「敵を見てプレーする」を指導理念としてやっています。
結局はサッカーは相手との駆け引きなのだと思っているからです。
そして、ドリブルでゴリゴリ行くことを否定する人は、私としましては、「カオスとフラクタル理論」的な観点が欠けているように思うのです。
フラクタル理論とは、バルサが取り入れている考えです。
簡単にいえば「大なるものは小なるものに似ている」ということです。
だからバルサは、特にカンデラ(下部組織)のほとんどをポゼッションに充てるのでしょう。
ポゼッション練習で「相手の逆をつく」ことを重視してやっていれば、不思議なことにドリブラーも育つのです。
メッシ(彼は小学時代はドリブルの国のアルゼンチンで育ったので純粋ではありませんが、それでも中学以降はバルサカンデラ出身です)、イニエスタ、ヤマルはドリブルの達人です。
そして逆も同じなのです。
「相手の逆をつく」ということをポイントにしてドリブルばかりしていれば、パスでも相手の逆をつけるようになります。
なので私は「ドリブル重視」「パス重視」どちらでもいいと思っているのです。
ただ、私的には違うと思っているのが、敵を無視した戦術です。
「Aにボールが入ったらオーバーラップ」「まずはセンターバックの裏に蹴れ」的な指導は、私はしていません。
そういうのは「戦術」とはいえず「決まり事」でしょう。
そしてそういう決まりごとは、最小限でいいと私は思うのです。
けっこう「敵を見てプレーする」という概念が新しすぎて、理解がなかなかないように思います。
ただ、↓風間さんの動画を見ていただければ、おもしろさがわかると思います。
こういう観点で練習をすると、日々の練習で新しい観点が入らなくても、どんどん深くなるのです。
そしてそれこそが、サッカーで最高におもしろいところだと私は思います。