私がメッシの技術で本質的にすばらしいと思っている一つとして「歩幅変えと連続タッチ」がある。↓動画を元にして書きたい。
たとえば動画9秒。
まず左足でトラップしたときに、その左足を後ろに引いて着地している。
普通はその場で着地したり、コントロールオリエンタードでボールを持ち出すけど、メッシは基本的にはだいたいこの止め方をする。
現象として何が起こっているのだろうか。
ボールがほとんど動いておらず、メッシの足が動いている。
つまり止めた方の足をどこに置くかによって、メッシは次のプレーを選択できるのだ。
これは私は風間八宏さんの記事を読んで気付かされた。風間さんは卓越した理論を思っていると思う。
↓のような風間さんのインタビューがある。
進みたい方向をあらかじめ決めておいて、ボールをそこに動かしたとしましょう。相手に読まれて対応されたら、もうこちらは変化できないですよね。
それに対して体の正面に正確にボールを止めてからステップの踏みかえで反転したら、どの方向へもボールを運べる。すなわち相手の出方を見て変化できます。
止めてからステップの踏みかえで反転するとワンテンポ遅れるように思われるかもしれませんが、ボールを止めた足を着地したときにそのまま軸足にして体の向きを変えると素早く回れます。モドリッチやメッシのプレーを見てください。彼らがよくやっています。
このような「ボールはピタっと止めて、止めた足の位置によって次のプレーを選択できる」というのが、風間流のトラップ練習だと思う。
ただ私としては、実際の現象として「トラップしてすぐ次のタッチでキックする」というのは、あまり起こらないと思っている。
そしてメッシで言えば、ボールを止めたあとは、すぐに次の足でボールを触る。「連続タッチ」だ。
メッシ動画9秒でも、トラップした左足を引いたあと、すぐその左足でボールを触っている。
右足でトラップした場合も、その右足を引いて(歩幅変え)すぐに左足でボールを触っている(連続タッチ)。
メッシ動画3分13秒だ。
このような「歩幅変え」の名手の一人が、レアル・マドリーのトニ・クロースだ。
トラップした足を、ボールが来た方とは反対方向に着地することで、敵を騙している。そのときに上半身をボールが来た方とは反対方向に開いたり肩を落としたりしているのが、コツだ。
次に、ドリブルにおける「歩幅変えと連続タッチ」だ。
メッシ動画55秒。
まず左足アウトでボールを切り返す。次に軸足の右足は左足の真横くらいに置く。これは歩幅変え。すると軸足の右足がボールのすぐ近くにあるので、2タッチ目の左足で連続で素早くボールを触れる。これが連続タッチ。
メッシの抜き方の鉄板だと思う。
そしてマラドーナもこのタッチを多用していた。
↓動画24秒は、めちゃくちゃ典型的な歩幅変えと連続タッチだろう。
このタッチのドリル化をしようかと思っているくらいだ。
たぶんこの「歩幅変えと連続タッチ」は、本質的な地上動物の身体メカニズムがあると思う。
↑動画チータの走りと、メッシやマラドーナの切り返しは似ている。
つまり左右の足が連続で着地して次にジャンプすることによって空間と時間を大きくとって、また左右の足が連続で着地する。
私は「歩幅変えと連続タッチ」は、簡単なドリルにできると思っている。
また練習で試してみたいと思う。