③本歌を追い求めた末に生まれた大野刀匠の独自性
こちらも「写物」の対談の中で語られていますが、いくら写をやっても本歌そのものにはなりません。
材料から全てが違いますし、まず刀の年齢が違います。
では何故大野刀匠は写をやったか。②で説明した通り本歌の良いところを学ぶ為であり、
今まで出来なかった事に試行錯誤をする事で技術及び感覚の発展をする為です。
その目標が本歌であり、その結果が写物として発表されます。
大野刀匠の作品を比べて見ても、初期の頃は師匠の吉原刀匠を彷彿とさせる刃文ですが、
山鳥毛写発表の数年前から変化して大野刀匠独自の刃文になっています。
偶然,奇跡的としか思えない刃文を必然的に狙って焼く。
本歌の作者が刃文を意図的に造っていないとすれば、
本歌を造るよりも遥かに緻密で正確無比な技術が必要となるでしょう。
あくまで本歌を追いかけた末に生まれた大野刀匠の丁子刃は『大野丁子』と呼ばれ、
その独自性が広く認知されています。
大野刀匠はそれまでに存在し無かった刃文を創出したという点において、
各時代の備前一流刀工、相州秋広・広光、助広・真改等と並んで数百年後も評価されるべき刀匠であることは確かであり、その代表的とされる作品が『山鳥毛写』であります。
以上が今回紹介する『大野義光 山鳥毛写』の魅力です。
どうです?観てみたくなったでしょう?笑
あさひ刀剣では、山鳥毛写も含む大野刀匠の作品を常時展示しておりますので、御来店の際はぜひじっくりとご覧になってください。
そして大野刀匠と中原信夫氏の対談もホームページにありますので是非ご一読くださいませ。
https://asahitoken.jp/contents/04_ism/ism.html
それではまた!
久津間
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