東日本大震災から8年が経ちます。
震災により犠牲になられた御霊の安らかならんことを、
今日の日に改めてお慰め申し上げます。
さて被災された東北はもともと少子高齢化が進んでいた地域でありました。
それが震災により更に人口流出が深刻化しています。
復興に向けて若い労働力が必要なのに、かえって不足しているのが現状です。
そこで急激に増えているのが、外国人労働者です。
岩手県、宮城県、福島県の3県は、震災後に技能実習生が倍増しています。
国の特区として認定され、通常の実習生の受け入れ枠が拡大されている自治体もあります。
しかし被災地での実習生の受け入れで、問題も起きているようです。
今年に入り2件のニュースがありました。
一つは、災害危険地域に技能実習生の寮を設けていたことに、
町から受け入れ企業に対して改善命令が出ました。
工場の2階を寮として提供していました。
震災前ならば問題にならなかったのですが、
現在では津波が再来した場合に浸水する地域は、
「災害危険区域」に指定され住むことができません。
水産加工の工場ですので、港に面しており海抜は約1メートルでした。
そしてもう一つは、別の地域で高台に技能実習生用の集合住宅を建設しようとしましたが、
住民の反発に遭いました。
外国人が近くに住むことで、ゴミ出しなどのトラブルや治安面での心配によるものです。
実習生の受け入れを進めている町や企業は、工場近くでは災害危険地域にあたり、
住民が移転した新しい街である高台では反対され、ジレンマにあるそうです。
また同じような事案で、大阪の摂津市でも実習生の入国研修用の施設を建設しようとしたところ、
地域住民の理解を得ることができずに頓挫しています。
実習生を含めて外国人労働者は、労働力というモノではなく地域コミュニティで生活する人間です。
「受け入れ」という言葉には、会社だけではなく我々も直面する課題であると言えます。
また難しいのは、技能実習生は3年から5年で帰国します。
高台で反対した住民は単なる感情論ではなく、
町にずっと定住してくれるパートナーが欲しいという想いがあるのだと思います。
本当の復興のためには、労働力を借り物にするのではなく、
地域を継続して行くための次代の担い手が必要だからです。
外国人労働者の受け入れに反対すれば解決する問題ではありません。
同じく、受け入れに無条件に賛成すれば上手くいく単純な問題でもありません。
日本社会をどのように舵取りしていかなければならないのか、
我々は大きな課題に直面していると言えます。
日本人および外国人関係なく、働く人のより良い環境に進んでいくことを願って、
今後も考えて行きたいと思います。