題名だけは知っていた。

 

野火(1959)

 

文学史で題名と作者と大雑把な内容を丸暗記した程度の知識しかありませんでした。おそらく新潮文庫100選にあったと思います。なぜ読まなかったかなあ。戦記物を読むことがまずなかったからかな。

 

レイテ島で敗戦濃厚な日本軍は軍としての体裁をすでに失っていて各兵が付近の村から食料を強奪して飢えを凌ぐ有様です。救出地点に向かう途中、飢えと病気のためどんどん隊員が斃れていきます。誰もが瘦せ衰えているのです。

 

主人公は偶然知り合った2名の兵隊たちと行動をともにします。彼らは猿の肉と称する干し肉を食べています。しかしある時主人公は肉の正体は猿でないことを知ってしまいます。死んだり殺したりした日本兵の肉だったのです。

 

いよいよ食料が尽き今度は互いが殺し合わなければならなくなった時主人公はその争いから離脱します。離脱しても待っているのは死だけなのです。

 

 

2025年通算182本目

 

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