イランの映画です。監督のパナヒ氏はイラン政府から映画製作20年禁止を命じられています。日本の感覚からすると全く異質の世界です。

 

↓熊は、いない

 

しかし監督は辺境のイラン国境から隣国トルコへリモートで指示を出し劇中劇の映画を秘密裏に作成しています。映画の構造は大変示唆に富むものです。

1.監督によるリモート指示で作成される映画(劇中劇)

2.監督自身が被写体・主人公となっているこの映画(熊は、いない)

3.この映画を観ている私たち

 

ここまで書いてアステロイドシティを連想しました。しかし米国のそれとは違いこの映画には監督をはじめ関係者の命が懸かっています。

 

映画の中では伝統的な価値観に縛られる人々とそれにあらがう人との軋轢が描かれます。劇中劇も本編も同様の視点です。観客である私たちは、そんな国もあるのか・・程度で観てはいけないと思います。

 

題名の「熊」は、いないものいるかのように思わせ人々を操る存在を示しています。

 

 

2023年通算165本目

 

 

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