好きな漫画家の1人に大友克洋がいます。大友克洋の作品に「童夢」があり、学生のころ買ったものでした。精緻な画風とダイナミックな構図で知られ、絵から音や静寂が聞こえるような気がしたものです。
さてイノセンツは、童夢の影響を受けたと監督が言っている作品です。童夢ではサイキックの少女と老人が息詰まる対決を見せました。イノセンツではどうでしょうか。
↓イノセンツ
子どもは一般に純真で汚れない(イノセント)心を持っているとされています。しかし子どもを育てた世代は必ずしもそうではないことを知っています。子どもは好奇心に任せいろいろなことをしでかすのですが、それが善であるか悪であるかは大人の価値観によって決めることで子どもには関係ありません。
子どもの好奇心から始まったサイキックを利用した遊びはだんだんエスカレートしていきます。最後には他者の心を操って自分の気に入らない人間を殺害させるに至ります。しかし流石にそこまでするのはおかしいと気づく子どももいます。なんとか止めたい・・。
基本的に静かな場面が多いです。流れるBGMは観客を不安にさせます。ノルウェーの近代的な公営団地が良い効果を生んでいます。主要な家族の多くがシングルマザーであること。登場人物の多くが何らかのキズを抱えていること。社会の縮図も見えるのです。
もう1度観るかもしれません。
2023年通算97本目