いつもの茶友と
無庵さんの朝茶事
に伺うことになりました
無庵さんからは素晴らしい招待状が届きました
巻紙の折り方も完璧
今回はこの手紙が更に紙で巻かれて
そして封筒で届いたのでした
仕事がら
巻紙でのお手紙は書き慣れていらっしゃるでしょうから
どんどんバージョンアップされていることを感じます
私も無庵さんからの手紙をお手本にして
受け状をすぐに送りました
客のお役は三人で交代にやっています
色々体験して勉強させていただくように・・・
今回は
お正客をやらせていただくことになりました
そうすると
気負ってしまいまして
師匠にも報告しましたら
「勉強させていただきます、と謙虚なのが可愛げがありますよ」
とアドバイスいただいてしまいました
そうですね!
勉強させていただきます
と思ったら
気が楽になりました
茶事前日
22:00に布団に入りました
23:00雨の音で目が覚めました
台風が出来ているというニュースでにぎわっていました
雨が降ったら
路地下駄と露地笠を使わせていただくチャンス!
晴れたら
ありがたいこと
と思っていましたので心配はしていませんでした
しかし
夜半から雨は強まり
雷も近づいてきます
ドッシャン
ガッシャン
二階に寝ていますが家が揺れます
ウトウトしながら
3:30起床
雨が上がっていました
髪を結い
着物を着て
草履には現代の爪掛をつけて
大きめの傘を持って
レース足袋で
(向こうに到着したら足袋にします)
「降らずとも雨の用意」です
車に乗り込みます
気温は25℃
絽の着物を着ていても
涼しいです
4:30出発
まだ薄暗いですね
新東名を森町のパーキングエリアまで走ります
東の空が明るくなっていきます
(写真だと明るめに映りますがもっと暗かったです)
森町に入ると
24℃まで下がりました
5:30駐車場集合です
早めに着いたのであたりをドライブ
昨夜の雨で
太田川は濁流
でも晴れてきました
茶友と合流して
玄関に向かいます
8月26日
立秋をすぎていますし
雨で気温も下がりましたので
浴衣はやめて
3人共とも絽の着物にして正解でした
玄関まえにはしっとりと打ち水
普段ガラス戸のところが
簾にかわり
露地草履が用意されています
この姿を見て
茶事に伺ったのだ!
という喜びと不安が入り混じった気持ちになりました
手がかりが開いています
それを頼りに
寄り付きに入ってきます
荷物を柳行李に入れて
待合へ
宗心宗匠のお筆
で
「美野里」
(だったともおもいます)
一甫さんが書かれた
案山子の絵との画賛でした
みのり=実り=秋の実り
ですね
半東さんが
汲み出し
を運ばれてきました
「お い しい」
思わず声が出る
水の美味しさを感じる湯でした
さあ外腰掛に出ます
もう後戻りは無しです
円座の上に煙草盆
そこは下座
なので
円座を下座から並べつつ
正客の場所まできて
着座しました
今回は間違えませんでした
朝6:00席入りの約束
何時になったのかはわかりません
迎え付けを待ちます
暑い今年の夏でしたのに
苔の緑の美しいことといったらありません
また
羊歯類も美しくみずみずしい
日頃のお世話の様子が目に浮かぶようです
テッポウムシで枯れてしまったという楓の切り株にも
羊歯類が生えていて
美しい景色となっています
水の音が聞こえてきました
耳を澄ませます
足音が近づき
ご亭主の姿
枝折戸を開け頭を下げられるご亭主無庵さんとの対面
無言で蹲って礼
この緊張感がたまりません
腰掛けに戻り
円座を立てかけ
あとはお詰めさんにお任せして進みます
お詰めさんは裏千家流を学ばれています
裏千家さんでは一番上の円座はひっくり返して
その上に煙草盆ですが
表千家はひっくり返さないので
表千家流の亭主と正客にめんじて
表千家流にひっくり返さないで円座を重ねていただきました
蹲廻りのみずみずしさは格別です
手を清め口をすすぎ柄杓を清め
手を拭いたら
小間へ
躙口からのぞきます
薄暗い部屋の中
枡床には
一行もののお軸
薄暗くても見ることは可能です
「白雲・・・」
白井の「白」のくずし字なので読めました
風炉釜の拝見
切り合わせの朝鮮風炉です
火間から赤い火は見えません
敷板は四角
3人が着座すると
茶道口が開きました
ここではじめて声をかわします
にこやかな無庵さんのお顔にほっ
雨の心配をしましたがお天気が良くなりまして
どなたか晴れ女で?
はい私です
無庵茶事は雨が多いそうです
僕が負けましたね
で笑いがおこります
朝茶事は挨拶は短めに!!
を心して
お軸をお尋ねしました
「白雲まで読めます」とつたえると
「その続きは?」と聞かれ
「白雲自去来」
(はくうんおのずからきょらいす)
だと正解しました
山田無文老師のお筆
白と雲
の文字に点で書かれた部分があり
とても楽しいリズミカルな文字だと思いました
まずは炭点前からです
炭斗籠は平たいものです
風炉の炭は本当に小さくておもちゃみたい
よって
平らな籠にも組めるんです
香合の高さで
羽が水平に置けないのでは?と注目
すると
香合は背の低い竹の筏でした
なるほど~
白鳥の白い羽と枝炭の白が
薄暗闇に浮かび上がります
炭を次ぐそばから
パチパチを音がしてきます
そして戸外では
けたたましくなく鳥の声が
ガビチョウですね
と無庵さん
ちょうど6:00頃から鳴き始め
一定の時間なくとだまるのだそです
うまく炭が熾っています
切り合わせは消えちゃうので難しいんです
とおっしゃる言葉にウンウンと頷き
でも
ちゃんと熾っている無庵さんの炭点前
勉強させていただきます
炭点前が終わるときには
ガビチョウのさえずりも一段落でした
羽箒で点前座から掃き出しする様子を拝見
「それでは朝食を召し上がっていただきます」
と
無庵さんのリラックスさせてくれるお言葉
竹の拭き漆の折敷
が
涼し気です
ここで半東さん
小型扇風機を私と次客さんにお渡しくださり
大型扇風機を廊下からお詰めさんに向かって回してくださいました
無庵さんには
冷房
がありません
それが素晴らしいことだと思っています
飯・味噌汁・向付
香の物
紫蘇ジュース
煮物椀
炊合せ
和物
湯
朝茶なので焼き物省略
無庵さんは精進懐石なのでもともと生ものはなし
いつにもまして美味しい飯は
森町の新米
みのり その1ですね
煮物椀には初物の 松茸
みのり その2
和物の無花果と湯葉といんげんの練りごま和え
絶品でした
無花果は今年私にとっては初物
みのり その3
御膳が下げられて
主菓子が運ばれます
青竹にすりきりで入っている
水ようかん
小豆の風味を感じると思いましたら
小豆の皮もすっかり取ることはしないで
少々まぜているからだそうです
つるんつるんと飲み込む水ようかんではなく
しっかりと味わう事のできる
美味しい水ようかんでした
はやく中立ちせよ
と急かすようにまた鳥が鳴き始めました
それもすぐ近くで・・・