お客様が外腰掛に出られました

 

お手洗いは部屋の中ですので

玄関から入ってみえます

 

その合間を縫って

できるだけ鉢合わせしないように

 

座を改めます

 

湯は十分湧いていますので

釜をあげて炭を直すことはしなくていいよね

 

水屋の茶友に相談しながら・・・

 

相談できる人がいるというのはなんとも安心です

 

お軸を巻き

お花をいれます

 

茶入を水指前に置き

棗を天板に

 

お客様の動線と同じように動き

道具の確認をします

 

OK

 

さて

初めての喚鐘を打ちますよーーー

 

中中 

今までは鳴り物がなかったので

お迎えに行っていましたが

鳴り物で席入りを知らせると

 

本当の茶事らしく

感じます

 

いよいよお茶の時間です

 

このあとの濃茶のために

炭を入れ

懐石があり

お酒があったのです

 

緊張します

そして

集中します

 

 

 

床の花は

師匠がおっしゃったように

コスモスと草紅葉

 

身の丈に合った花です

 

席入りしたお客様の話し声が聞こえてきました

 

あ!コスモス!!

来るときの新幹線で

「いい日旅立ち」(By山口百恵)が流れていたの

 

コスモスが

お客様の記憶と茶室を繋いでくれました

 

師匠ありがとうございます

と心のなかで手を合わせます

 

 

 

 

 

 

 

茶道口を開け

無言で礼

お客様も無言

 

 

 

ただただ甘く美味しく練ることに集中します

 

 

帛紗捌きがもたつく

茶筅通しの間釜の蓋を閉めるのを忘れてやり直す

中じまいを解くときもなにかミスした

 

でも

お客様が

美味しい、甘いとおっしゃってくだっさったので

救われました

 

型通りのお尋ねのあと

 

次客様が蓋置に注目してくださいました

 

「蓋置が珍しい形ですね?」

 

片つけようとしたときに

とっさに聞いておかなきゃ

というかんじで発せられた言葉でした

 

お正客様が「一閑人ですよね」

といわれました

 

よくわかっていらっしゃるお正客様にとっては

聞くまでもなく

のお道具でしたが

 

お次客様がお聞きくださった事で

「井戸を覗いているんですよ!

今日のお道具組のヒントですおねがい

とお話しました

 

 

すると

 

井の中の蛙カエルカエルカエル

 

ピンとこられたようでした上差し

 

 

 

お道具を拝見にだします

 

私なんでこんな顔して

 

上のほうを見ているのかな爆  笑爆  笑爆  笑

 

お正客様との問答

 

茶入は内海

私が茶名を許された名披露の茶事の折

当時の師匠からお祝いとして賜った品

銘「池水」

 

茶杓は「みをつくし」

 

井の中の蛙であった私が

井戸からでて大海原にこぎだしてみたら

様々な困難に見舞われ

自分はなんてちっぽけだったのか

と気がつくことができました

 

また広い世界に出たことによって

本日お越しいただいたお客様とも

茶友

となれたことを喜び

この浅葱庵で謙虚に茶の道を進みたい

 

 

そんなお話をしていると

 

なんとご連客様の目に涙が・・・

 

 

びっくり

 

 

ありがたいことでした

 

伝わってよかった

 

そんな気持ちでした

 

 

 

 

そして

薄茶席

 

実は水屋の茶友が用事があって濃茶の途中でお帰りになられました

 

煙草盆の炭の用意をして

準備してくださっていました

「ありがとう」とおもい

そのまま持ち出すと

莨入れとキセル

を入れていなかったチーン

 

 

道具の確認は

必ず自分でしないといけない

 

という教訓となりました

 

 

 

気軽なお席

「どうぞお楽に」

のあいさつが実感をともないます

 

 

お薄は静岡県の抹茶

家康が愛したとも伝え聞く

岡部の「新舟の風」

という銘

 

あら、ここでも意図しなかったけれど

航海つながりとなりました

 

家康が駿府城に移られてから

お飲みになられたお抹茶を再現したお薄

やはり

京都のお抹茶に比べるとまろやかさなどに欠けます

でも

あえて家康のお抹茶を飲んでいただき

茶壺道中が行われた背景に思いを馳せていただきました

 

そんなお話をしながら点てたお薄

飲まれたお正客様は

「武士らしい味がする!」

と上手にまとめてくださいました

 

茶処静岡は

煎茶どころ静岡

なのでした

 

このあと

お客様にもお薄を点てていただきました

 

お正客様ご指名で

お詰めさんから

 

裏千家流は

いろいろすこしずつ違います

 

そしてお次客様にバトンタッチ

最後はお正客さま

流れるように

いつのまにかお茶が点っていた

という表流の点前とは違うことも

興味深かったです

 

美味しい一服で

疲れも吹き飛びました

 

最後に

茶杓

 

私達4人の共通の茶人

 

ヨット茶人

長谷川宗水さんから頂いたものを使いました

 

 

繋がり

 

そして

大海に漕ぎ出している大先輩

 

銘「かすがい」

 

私達をつなぎとめる「お茶」という「かすがい」です

 

 

 

 

5時近くなっています

茶事4時間どころではなくなってしまいました

茶室は暗くなり始めています

 

急いでおかえりの準備

 

タクシーGO呼ぶ?

 

え!ここ来ない?

 

広い道に出れば捕まえられるかも?

 

いやいやここでは流しのタクシーいないから

 

バスがちょうどあると思ったからバス停に急ぎましょう!

 

歩いて8分のバス停に

正装の着物姿の女性が4人

 

目立ちます(笑)

 

ここでバスが来るまでのちょっとの時間

茶室では話せない話ができました

 

お客様から聞いたこと

 

浅葱庵に伺うから

なにか浅葱色のものを身に着けていきましょう

 

と示し合わせてきてくださったそうです

 

正客さまはお着物本体が浅葱色を意識したブルーでしたが

他のお二人は?

 

もう道行コートをお召なので確認はできません

 

でも

そのお心遣いがとても嬉しかったです

 

 

畑にかこまれた田舎での茶事

新幹線に大根を持って乗り込まれることになってしまいました

義父の野菜をお持ち帰りいただきました

 

 

 

バスに乗り込まれるお客様に手を振って

感謝の気持ちでいっぱいでした

 

 

家までの道

もう

随分と暗くなっていました

 

長い一日でしたが

かけがいのない一日でした

 

ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶道口