2009年に出版された本です

 

蝶々喃々

(ちょうちょうなんなん)

 

と読みます

 

「男女がうちとけて小声で楽しげに語りあう様子」

 

だそうです

 

 

「食堂かたつむり」で有名になった小川糸の本

 

帯には

「おいしいものを、一緒に食べたいひとがいます。」

と書かれています

 

恋と家族の物語

です

 

カバーをとるとこのような感じです

 

装丁 大久保伸子

切り絵 矢口加奈子

 

和風な、題名と本の姿に惹かれ求めました

 

七草粥を作るところから物語が始まっています

好きだなー❤

 

主人公の栞(しおり)は

東京の谷中でアンティークきもの店を営んでいます

三軒長屋に住み

仕事柄、着物を着て生活しています

 

火鉢で暖を取ったり

三和土に降りたり

坪庭に蝋梅が咲いたり

 

純和風な生活に惹かれます

 

この本には谷中周辺に実在する場所が出てきます

 

桃林堂

みかどパン

イナムラショウゾウ

谷中霊園

正緑荘

谷中銀座

鈴木精肉店

へび道

大名時計博物館

などなど

 

 

10年ほど前

この「喋々喃々」の世界を探しに谷中巡りをしたことを懐かしく思い出します

まだブログを書くこともなかった時代で

スマホも使っておらずカメラで写真を撮ってスクラップブックに貼って

記念にしていた時代です

(懐かしい)

 

 

 

アップこのページに
栞がやっているアンティークきものやさん「ひめまつ屋」
を連想させるお店に行ったことが書かれています
 
 
本中の菓子で興味を持ったのが「五智菓」
 

初釜に来ていく着物を探しにきた男性との出会いの場面に

「五智菓」をすすめながらお茶を点てる場面があります

 

本ではこんなふうに書かれています

 

「これね、五智菓っていう、近所の和菓子屋さんのお菓子なんですよ」

・・・私も久しぶりに抹茶が点てたくなっていた。

「私も昔、お茶を習ってたんです。」

茶碗に浅く湯を張り茶せん通しをしながら、話しかける。

「僕は、まだはじめたばっかりなんです。ばっかりというか、正式なお茶会は、今度の初釜が初めてなんですが」

「それは楽しみですね。」

「実は、去年体を壊しまして。仕事のストレスが原因だって言われたんですけど。デジタルの世界って、ボタン一個

 でぱーっと何もかも消えちゃうじゃないですか?例えば、このきものを燃やしても、きものはなくなっちゃうけ ど、灰は残りますよね。でも、パソコンで消去しちゃうと、本当にすべて無になっちゃうんです。最初からそこ には手で触って確かめられる物なんて何もないんです。いてもたってもいられなくなっちゃて。退院したその足

 で、茶道教室に駆け込んだんですよ。母親が昔、お茶をやっていたものですから……すみません、こんな話」

 そんなことありません、と言葉を返したいのに、上手に声が出せなかった。

 私は、もう一度心を落ち着けて棗の蓋を開け、お茶杓で一杯半、抹茶をすくい出し茶碗に移す。その瞬間、目が覚めるように鮮やかな抹茶の香りがした。ゆっくりと、鉄瓶からお湯を注ぐ。やわらかく白い湯気が広がった。

 まどかさんが今朝届くれた緑の箱には、人参、椎茸、金柑、牛蒡、セロリが入っていた。桃林堂ではいつも小鯛焼を買ってしまうので、五智菓は私も初めてだ。

 男性が、椎茸の砂糖漬けを口に入れるのを見計らい、茶せんを動かす。泡をたてながら一瞬だけ盗み見すると、男性は神妙な顔でお菓子を咀嚼している。

「どうぞ」

 男性の方へ正面が向くように、私は丁寧に茶碗を回して差し出した。抹茶茶碗は趣味で陶芸をはじめた父が、二十歳のお祝いにと2つセットで作ってくれた楽茶碗のひとつである。

 男性は、ゴクゴクと喉を鳴らしながら一気に抹茶を飲み干した。唇の端に泡をつけたまま、畳の上に両手をつき、熱心に黒い楽茶碗に見入っている。

 

お茶を始めて間もない頃の私でしたので

お茶を点てる描写と未知の菓子

「五智菓」に惹かれました

 

今読むと「お茶」の魅力が伝わるように書かれているなーと思います

そんなことで

お気に入りの本になったのかなー

照れ

 

明日は「五智菓」について書こうと思います

つづく