6月22日 夏至

 

 

東京青山善光寺にて

第26回 随縁茶話

https://cho-so.jp/

 

梅雨時と重なり茶席のテーマは

「雨」でした

 

茶席の菓子は

岬屋 「業平傘(なりひらがさ)」

 

ニッキ味の和風クレープのような生地にあんこを巻き込んで

串でとめた姿が閉じた傘のように見えるお菓子です

 

在原業平とは平安時代の歌人でモテモテだったといわれています

『伊勢物語』に使われている和歌に彼のものが多いため、

伊勢物語に登場する「昔男ありけり」の「男」は

業平のことであるということになっているようです

 

茶席での説明で

『伊勢物語』の「身を知る雨」の段の和歌が紹介されたので調べて見ました

 

百七段

「雨のふりぬべきになむ見わづらひはべる。身さいはひあらば、この雨はふらじ」といへりければ、

例の男、女にかはりてよみてやらす。

かずかずに思ひ思はず問ひがたみ身をしる雨はふりぞまされる

とよみてやれりければ、みのもかさも取りあへで、しとどにぬれてまどひ来にけり。


業平のところにいた若い女に恋人から文がきた

(今ならさしずめメールかラインでしょう)

「雨が降るんじゃないかと空を見ながら、あなたに会いに行こうかとなやんでいます。私に幸いがあり、あなたが私を想ってくれているならばなら、この雨は降らないで会いに行けるでしょう。」

業平は若い女の代わりに文を書いて男に届ける

「あなたが私を想っているのか、いないのか、直接問うことも難しいので、私に幸いがあり、想われているなら晴れ、想われてないのなら雨と空模様にたよるしかない私ですが、境遇を知る雨は土砂降りで、あなたに想われていない私は悲しみの涙がますますあふれることです。」

これを読んだ男は箕も傘も持たずにびしょ濡れになって女のところへ来たそう

 

ここから

閉じたままの傘=させないからびしょ濡れ=「業平傘」としたそうです

 

梅雨時にピッタリ!この時期しか作られないそうです

季節と古典の物語を併せ持った和菓子は

いとおもしろし

です

 

(それにしても今こんなメールをおくったら男性に引かれることでしょう!)