若冲+広重=浮世絵祭り2016
はい、久しぶりです。自分のブログ。年々記憶が遠のいていってしまうような危機感を覚えたので、徒然と記録にだけは残しておこう。さて、行かずにはいられなかった若冲展。http://jakuchu2016.jp/東京都美術館で絶賛開催中。絶賛しすぎて長蛇の列が半端ない。GWに行く私もどうかと思うけれども、だって仕方ないじゃない。社会に奉仕している人、略して社会人ならば!9時半開場なのでとりあえず15分前に辿り着いた・・・が、ちょっと甘かった。予想以上の列だ。ざっと200人くらいだろうか。みんな早くからよくもこんなところで並んでいるものだ。天気もいいので上野公園で遊べばいいのに。と、思いつつ並ぶ私。しかもこれは、券を持っている人の列である。別の場所には、券の購入用テントが設置されており、そっちにも50人くらいの列ができていた。哀しいかな、券を買ってない人たちよ。列はずるずる進む。遥か後ろには学生の集団も現れた。何もこんなときに来なくてもいいのに・・・平日においでよ学生さん。また、列とは関係なく、車椅子のご高齢の方もするすると。何もこんな混んでいる連休中に来なくてもいいのに・・・絶対平日をお勧めするのに・・・。とまあそんなことを考えながらも10時過ぎ、ようやく入場達成。そう、まさに入場だけで達成感。入場口がゴールに見えるというお得感・・・なんてこったい。だって入り口が見えてからも中でぐるぐると列が巻かれているんだもん。見えているのにいつまでたっても到着しないんだもん。入場制限に2回も引っかかっているんだもん、ここまで来る間!ふう。それはさておき、ついに入場。もう最初から図録を買う気満々だったため、いちいち説明パネルは読まずに先へ・・・まあ、わかっていたけれど、わかっていたけれどこの混雑ぶりったら、バーゲン会場並みである。一番の見どころ「動植綵絵」30幅がずらっと展示されている円形の空間には、どの絵の前にももれなく人の塊が。この人をかき分けて、またはじっと前の方へ行けるのを待っての鑑賞なんて・・・辛すぎる・・・後ろの方では小さな双眼鏡を片手に鑑賞している人もいるし・・・てか近くで見なくちゃ、裸眼で見なくちゃ意味ないでしょう!!せっかく本物と対面しているのだから!!でもあんまり興味のない絵はざっくり見るだけにして、好きな絵だけ頑張って近づいて鑑賞することに。若冲、近年ブームになっているのであまり乗り気ではなかったけれど(天邪鬼)やっぱり本物はいい!実は初めて生で見たけれど、生で見てよかった!色彩の完璧な美しさ、構図、神経を疑うほどの緻密な描写は圧巻。日本の絵画は西洋とは違い、空間の美をもっているけれど、若冲はそんな空間を問答無用に埋め尽くしていた。装飾過多と思われるけれども、決してケバくはない。壮麗で華やかなハレの空気感に満ちている。水に頭突っ込んだ鳥や、雀の群れの中に一匹だけ混ざっている白い奴、オオダコの足にさりげなく巻き付いているコダコなど、ちょっとした遊び心も小粋だ。これを日本人ではなく海外の人がコレクションしたというのもまた面白い。保守的な日本人には斬新すぎたのだろう。でもだからこそ21世紀の現代でもまったく古びず、それどころか新しい感動として私たちを楽しませてくれている気がする。さてお決まりのミュージアムショップだが、こちらはほんとに商売っ気たっぷりである。ついホイホイと買ってしまうので文句は言えないが、今回はポストカードは控えめにした。その代わり、買って面白いのが、「胡粉ネイル」。昔から人形や能面、そしてもちろん日本画などにも使われてきた顔料である胡粉を使ったマニキュアである。結構色が強いのが多かったけれど、その中でも控えめと思われた「薄桃(うすもも)」を購入。専用除去液も売っていたけれど、売れていたネイルの本数に比べて、除去液は減っていないようだったため、購入はせず。もし普通の除光液で落ちなかったらどうしよう。まあ、その時はその時で。・・・ぐったり。朝イチからなかなかの消耗ぶりだ。なんだろう、この感じ。あ、3時間並んで診察3分、みたいなアレに似ている。いや、そもそも作品の保存のためなどというもっともらしい理由で会期を一ヶ月しか設けていない、かつ巡回展なし、というのが問題だ。絵は何のためにあると思ってるんだ。まあ、大事に大事に保存してきたからこそ今の私たちが綺麗な状態で見られるのだけれど、目的は見ることでしょう?絵も見てもらってこそ喜ぶというものだ。それがこんな満員ラッシュ状態でじろじろ短期決戦で見られて、はい終わりって、そんな殺生な。絵だってかわいそうだ。眠らせるのもいい加減にしろだし。疲れてしまってカラヴァッジョに会いに行けなかったではないか。まったく(八つ当たり)。ま、図録は見たけど。カラヴァッジョもかなり好きだが、ジョルジュ・ド・ラトゥールも好きだ!一緒に出ているようだが、ラトゥール展でもやったらいいのに。そしたらあんまり知名度もないはずだから人も少なくゆっくり楽しめる気がする。それはさておき、続きまして2日(月)の会社帰りに行った広重展へ。http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_2/サントリー美術館、実は初めて。六本木はオシャレすぎて・・・というか、場所わかりにくいな、こりゃ。というか、アメブロさん、どうして画像が縦に表示されないんですか。おーい。まあ、いいか。今回の広重は、個人コレクションで、なんと貴重な初摺り!!私の好みは「名所江戸百景」だけれど、今回は初めて「六十余州名所図会」も展示されているという。本邦初公開ってどういうことさ!保存状態良すぎでしょう!!まるで摺りたてほやほや!!こんなものを持っている人がいるなんて、なんて罪作りな!!鮮やか~もう、最高!!本当に、当時摺られたものですか!?と疑いたくなるほどの美しさ。やっぱり広重は素晴らしい。広重ブルーという言葉があるとおり、広重の使う青は深遠であり、絶妙な淡さがあり、惹きつけられてしまうのだけれど、今回の展示では、赤もいいなと再発見。赤というか、紅というか、やっぱり日本の色だからでしょう。描かれた世界に絶妙に色を添えている。北斎や他の絵師も途中あったけれど、広重の前には霞んでしまう。北斎より広重派な私。そうそう、以前「美の巨人たち」で紹介されていた作品もあって、鑑賞力がアップ。あの番組は役立つのでこれからも頑張ってほしい。広重だからなのかサントリー美術館だからなのか夜だからなのか、会場が空いていて非常に見やすかった。途中で外国からの観光客っぽい数人が異国の言葉を交わしていた(早口だった。非常に早口だった。あれはたぶんイタリア語に違いない。まったくわからないけれどペペロンチーノっぽい気配だった)以外には、静かなものだった。やっぱり日本固有の浮世絵は、静かな場所で見るのが一番。展示ケースの中にすべて入っており、係員がときどき拭いていた。指紋とかね、つい顔を近づけてしまうからでしょうね。だってすごく綺麗なんだもの。若冲もいいけど、やっぱり広重だな、日本の心というか私の心の比重は。広重の空間的な美は、描かないことにあると思う。芸妓の着物だけとか、通りの人の足だけとか、食べ終えたスイカの皮とか。何かしらの気配だけを描いて、見る人に想像の空間を残してくれるところがいい。若冲は圧倒的な存在感で、見る人にぐいぐい入ってくるけれど、広重はこちらから入っていくというか、吸い込まれていくような力がある。押しの若冲、引きの広重、とでも言おうか。どちらも違った魅力で楽しめた。この春、なんていい企画が多いのだろう。心憎い浮世絵ブームだ。もちろん図録も買った。この図録は形が長細くて面白い。広重にぴったり。ただ、中には横長の作品もあるので、その作品は横にいっぱい使って掲載してほしかったな。久しぶりに興奮を認めてすっきり。月に一度くらい更新しようかな。来月も美術展行くし。今年は豊作だから前売り券買いまくりである。ほんと困るわ~(嘘ばっかり)