冷蔵庫を開けると、
数種類のきのこが残っていた。
何を作ってもいいけれど、
なぜか今日は、
炊き込みご飯が作りたくなった。
こういう直感は、
だいたい外れない。
合わせるなら、牛肉。
少しだけ贅沢に、でも気負わずに。
炊き上がったご飯は、
想像していたよりも、
あっさりとしていて、
きのこの香りがやさしく広がる。
ここでほんのひと手間。
刻んだネギを散らして、
ごま油をほんの少し。
それだけで、
ふっと一段、格が上がる。
こういう「わずかな差」
を選べることも、
美意識のひとつなのだと思う。
そして何より嬉しかったのは——
食べるものに一切の忖度をしない、
そして言葉を持たない娘が、
美味しそうに完食してくれたこと。
言葉はなくても、
伝わるものがある。
何より私にとっては嬉しいこと。
むしろ、言葉がないからこそ、
本質だけが残るのかもしれない。
美味しい、ということ。
満たされる、ということ。
日常の中にある、
ささやかな、
でも確かな豊かさ。
それを丁寧にすくい上げることもまた、
わたしの美意識。
美しさは、こういう日常の中にある。




