「特殊なハープ系ソロ演奏楽器」というタイトルで、2015年1月にまとめた記事があります。
そこで7種類の楽器を紹介しましたが、そのうち2台(「ハワイアン・トレモロア」と「ピアノフォン」)は、修理や長い練習時間を経て、自分で演奏して動画UPしました。
トレモロアは、<左手でチター奏法によるコード弾き>、<右手でスライドギター(ボトルネック)奏法によるメロディー弾き>をする楽器です。
ピアノフォンは、<左手でパーカッション(打弦)奏法によるコード弾き>、<右手でチター奏法によるメロディー弾き>をする楽器です。
そして今回、ついに動画UPできたのが「マーキソフォン(セレスタフォン)」という楽器で、<左手でチター奏法によるコード弾き>、<右手でパーカッション(打弦)奏法によるメロディー弾き>をする楽器です。
左手の使用できるコードは、トレモロアは「D、F、G、C」でマーキソフォンは「D7(なぜか5thのA音省略)、F、G、C」とほぼ同じですが、コード内の音の配列は少し違います(ちなみに、同じマーキソフォンでも、コードの内のベース音が、左側になっているものもあります)。
4種類のコードは、各コードの構成音同士をうまく使えば、Em7(Gコードに、Cコード内のE音を合わせる)やDm7(Dコードの弦3本に、Fコード内のF音を合わせる)、G7(Gコードに、隣のF音を合わせる)なども弾けます。
ピアノフォンとマーキソフォンは、<打弦奏法+チター奏法>という意味では同じですが、コード担当とメロディー担当が右左逆になっている、とも言えます。
ただ、それだけでなく、ピアノフォンの打弦は「コードバーを手で持ち上げてから離す」奏法ですが、マーキソフォンの打弦は「ピアノのように(鍵盤の代わりの)金属バーを上から押さえる」奏法になります。
ピアノフォンの「持ち上げ落とし」は、早い演奏には不向きですが、マーキソフォンの「鍵盤押し」なら、素早い演奏が可能です。
さらに、マーキソフォンの鍵盤は、途中から薄い金属製になっているので、押さえると勝手にリバウンドを繰り返し、マンドリン風のトレモロがかかるようになっています。
「百聞は一見に如かず」ですね。違うアレンジで2曲弾いてみたので、ぜひご視聴ください。
ちなみに、マーキソフォンには、今回紹介したダイアトニックではなく、クロマチック(半音階付き)のものもあります(左側のコードも7種類使えるようです)。
この「鍵盤付きチター」は、製作側も試行錯誤したせいか、収拾がつかないほど色んな種類のものがあります。
American Piano Zither(アメリカンピアノチター)
Piano Mandolette Stella(ピアノマンドレッテ ステラ)
Rillonette(リロネッテ)
Mandolinophon(マンドリノフォン)
Mandolinette(マンドリネッテ)
Mandolin Guitarophone(マンドリン ギタロフォン)
Guitarophone(ギタロフォン)
すべて鍵盤(ボタン)だけのものとしては、
Pianochordia(ピアノコーディア)
Piano Zither(ピアノチター)
Dolceola(ドルセオラ)
金剛琴(こんごうきん)・・・これは大正琴を発明した森田吾郎さんが作ったものです。
タイプライター鍵盤が、大正琴っぽいですね。
・・・話をマーキソフォンに戻しますが、比較的良い状態の中古を手に入れましたが、修理調整は必要でした。
サビ落とし(写真は、左側8本まで磨いたところです。)
鍵盤バーは1本1本外して、スムーズに動くように点検・清掃
テール部の隙間接着
折れていたネームプレートを、前後からアルミ棒とアルミ板で接着
(最初は折れているのか、初めから分かれていて軽く載せるだけの物なのか、よく分かりませんでした。)
テールカバーとネームプレートの接触部がビビリ音を発生していたので、フェルトを間に挟みました。
あと、剥げた塗装部を簡単に修復、切れた弦を数本張り替えて、完成!
こんな素敵な楽器が、現在製作されていないというのは、実に残念なことです。