言語を勉強する人は必ず考えたことのある問題です。

 

個人的な見解は、その人の好きなようにすれば良いと思っています。

勉強する目的やその人の性格によります。

 

通訳や翻訳など、プロとして仕事をしたい人は1つを極めるでしょう。

しかし世の中には、仕事で使う以外の目的で言語を勉強している人がたくさんいます。

そのような人は、知らない文字を読めるようになったり、文法規則を学習して新しい文を作れるようになったりするプロセスに楽しみを覚えていますので、いろんな言語を手広くやった方が次々と新しい体験ができて楽しみが増します。

 

また、これは外国語学習以外でも通用するものと思われますが、1つのことを極めるには、ストイックな性格をしている人の方が向いています。

言語を習得するには少なくても数千の語彙を覚える必要がありますし、発音やイントネーションを身につけるために毎日例文を音読したりも必要でしょう。

そういった根気のいるトレーニングを長期にわたり継続できる人はだいぶ限られています。

 

言語ごとに私の学習経験をお話しすると、英語は極めたいと思って長らく勉強していました。

英検は1級を取りましたし、TOEICは900点台を何回も取っています。

IELTSでも7.0が取れましたので、CEFRでいうとC1に相当するレベルまでは到達したのだと思います。

しかし、それ以上がなかなか伸びませんでした。

TOEICは970点で頭打ち、BBCなどを聞いてみても、6~7割くらいは分かる感じがしますが、細かいことは理解できませんでした。

そこから上の景色を眺めるためにはあとどれだけの訓練が必要なのかと途方にくれ、勉強が苦痛に感じることもありました。

 

そんな時、ふと大学時代に勉強していたアラビア語のことを思い出したのです。

あんなに大好きで毎日勉強していたアラビア語ですが、大学を卒業してから忘れ去られていました。

英語に行き詰まったある日、部屋にあったアラビア語の絵本と辞書を引っ張り出して読んでみたところ、大体の話の筋は理解でき、読んでいて十分おもしろいと感じられたのです。

 

そうしてアラビア語学習を再開した次の月くらいに、都内の大きな書店に行く機会があり、語学コーナーに立ち寄りました。

英語が伸びない暗闇から抜け出して良い気になっていた私は、そこで調子に乗ります。

もう受験のように試験科目が決まっている訳でも、大学のように単位をとらなければならない訳でもないのだから、自分の好きなように勉強する内容を決めて良いのではないか。

この時に購入したのが、『大学のウズベク語』と『ニューエクスプレスプラス ベンガル語』です。

英語を極める方針から、多言語学習へと完全に舵を切った瞬間でした。

 

 

 

 

 

もちろん、英語を完全に諦めた訳ではありません。

今でも英語で小説を読みますし、英語で調べ物をする場合もあります。

今はまだそんな気持ちになりませんが、また英語を極めるために修行に打ち込む日が来るかもしれません。

ただ趣味で楽しむ以上の、極めた人にしか分からない至極の喜びは絶対にあるので、いつか再チャレンジして味わいたい気持ちは持ち続けています。

ただ、今はその時ではないというだけのことです。

極めようとするのも多言語学習するのも、その人がその時にやりたいようにやれば良くて、無理してどちらか一方にこだわる必要はないというのが私の立場です。