源氏物語名場面㊳
藤壺宮 肆
紫式部像 in 紫式部公園
日野山/越前富士を仰ぐ
金色の十二単を身に纏った紫式部
福井県越前市東千福町
紫式部は
多感な青春時代の1年半余を
《越前の守》に任じられた父藤原為時
とともに国府のある武生たけふで過ごした。
帰京後
父の友人で妻が数人と
子供のいる藤原信孝と結婚し
賢子/大弐三位だいにのさんみを儲ける。
紫式部公園
平安時代の様式を踏襲した《寝殿造り公園》
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それでも藤壺は
気力を奮って源氏を振り切った。
東宮を守るためには、
絶対あってはならないことだ。
父親である源氏は、
なぜ分かってくれないのか。
万が一《秘密》が発覚すれば、
三人とも終わりである。
宮中からの追放では済まないだろう。
東宮が
(順調に)帝位に即けば
〈皇統は万世一系〉の建前に背くのだ。
この期に及んで源氏、
○逢うことの かたきを今日に 限らずは
今幾世をか 嘆きつつ経ん
逢瀬の難しさが今日に限らず続くものならば
何度生まれ変わろうと
嘆きながら生きてゆくことでしょう
暢気な詠みぶりに藤壺はさすがに溜息をついて、
○永き世の うらみを人に 残しても
かつは心を あだと知らなん
永久にわたしを恨むと仰っても
あなたの心は変わるものだと御承知ください
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「どうしても源氏の君が
分かってくれないのなら私は出家しよう」
藤壺はそう決意した。