㊳藤壺宮 肆 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語名場面㊳

 

 

藤壺宮 肆

 

 

紫式部像 in 紫式部公園

 

日野山/越前富士仰ぐ

金色の十二単を身に纏った紫式部

 

福井県越前市東千福町

 

紫式部

多感な青春時代の1年半余を

《越前の守》に任じられた父藤原為時

ともに国府のある武生たけふで過ごした。

 

帰京後

の友人で妻が数人と

子供のいる藤原信孝と結婚し

賢子大弐三位だいにのさんみを儲ける。

 

紫式部公園

平安時代の様式を踏襲した《寝殿造り公園》

 

🔲

 

それでも藤壺

気力を奮って源氏を振り切った。

 

東宮を守るためには、

絶対あってはならないことだ。

 

父親である源氏は、

なぜ分かってくれないのか。

 

万が一《秘密》が発覚すれば、

三人とも終わりである。

 

宮中からの追放では済まないだろう。

 

東宮

(順調に)帝位に即けば

〈皇統は万世一系〉の建前に背くのだ。

 

  

この期に及んで源氏

 

○逢うことの かたきを今日に 限らずは

 

          今幾世をか 嘆きつつ経ん

 

逢瀬の難しさが今日に限らず続くものならば

何度生まれ変わろうと

嘆きながら生きてゆくことでしょう

 

 

暢気な詠みぶりに藤壺はさすがに溜息をついて、

 

○永き世の うらみを人に 残しても

 

   かつは心を あだと知らなん

 

永久にわたしを恨むと仰っても

あなたの心は変わるものだと御承知ください

 

 

「どうしても源氏の君

分かってくれないのならは出家しよう」

 

藤壺はそう決意した。