⑳朧月夜 漆 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語名場面⑳

 

朧月夜 

 

 

御帳台内部

 

 

激昂した右大臣懐紙

拾い上げると御帳台の中を覗き込んだ。

 

すると、

見覚えのある優男が、

悪びれもせずこちらを見ている。

 

「あ、あなたは!」

 

右大臣が叫ぶと

優男はわざとらしく夜具

引き上げて顔を隠そうとした。

 

侮辱された

右大臣怒り心頭に発するが

流石に源氏を面罵することは出来ない。

 

今は

臣籍に降っているが

元はといえば故桐壺院の皇子である。

 

懐紙を鷲掴みにすると

憤然として

自分よりも格段に知恵の働く娘

弘徽殿*大后のいる【寝殿】に向かった。

 

*大后おおきさき 帝/朱雀帝の生母

 

右大臣

 

源氏の君

当邸に忍び込まれるのは

私どもを侮っておられるのです」

 

弘徽殿大后

 

「此度の不埒な行動は

源氏の君を朝廷から追放する

またとない絶好の機会になりえます。

 

じっくり策を練りましょう」

 

 

この出来事がもとで、

源氏は須磨へ下ることになる。

 

朧月夜・完

 

次回 都落ち前夜