第三十一帖真木林
光源氏37~38 紫の上29~30 蛍兵部卿宮 玉鬘23~24
内大臣40~41 秋好中宮28 夕霧16~17 明石の君:28
柏木21~22 明石の姫君9~10 髭黒大将32~33
花散里23~24 弁少将 雲井の雁 冷泉帝19~20
真木林 (髭黒の娘)
笄こうがい
① 髪をかき上げるのに使った箸に似た細長い道具。
銀・象牙などで作るった。
② 女性の髷まげに横に挿して飾りとする道具。
金・銀・水晶・瑪瑙・鼈甲などで作った。
檜皮色ひわだいろ
母親の頬に涙が伝っているので、まだ幼い子供たちは事情は分からないままに泣きべそをかき始めた。
「古い物語にも、愛情の深かった親でさえ時勢に流されて我が子を蔑ろにすること話があります。
まして、すっかり心変わりされた父君は頼りにはなりません」
北の方の言葉を近くで、乳母や女房たちが頷いている。
いまにも雪が降りだしそうな夕暮れ。
「空が荒れ模様になってきたから、みんな急いで」
迎えに来てくれた北の方の兄弟は急ぐよう催促するが、姪の姫君だけはグズグズして玄関にやって来ない。
姫君は、とりわけ髭黒が可愛がっていたので、
「二度と父君に会えないかも知れないのに---。
お別れの挨拶もできないなんて---」
とうとう声を立てて泣き伏してしまった。
北の方は、「玉鬘のところに出かけている夫が夕刻に帰って来るわけがない」と思っている。
姫君はいつも寄り掛かっていた東面の柱を、だれかに奪われるような気がして悲しくてならなかった。
姫君は檜皮色の紙を重ねたのに小さな文字で和歌を書いて、柱のひび割れた隙間に笄の先で差し込んだ。
深夜のラジオから
帰って来たヨッパライ
ザ・フォーク・クルセダーズ



