第二十八帖 野分
光源氏36 紫の上28 蛍兵部卿宮 玉鬘24 内大臣39
秋好中宮27 夕霧15 明石の君:27 柏木20
明石の姫君8 髭黒右大将 花散里22
雲井の雁 弁少将 近江の君
「野分」の一場面
土佐光吉画 桃山時代 京都国立博物館所蔵
三条宮邸では、大宮(夕霧の祖母)がまるで幼い子供のように、吹きすさぶ風の音を恐がっておられました。
大宮が気がかりなので、今すぐ三条宮邸に参ります」
「すぐに、行っておあげなさい。
『年をとると子供に返る』というのは私にはまだよく分からないが、どうも老いると人は誰でもそうなるようだからね」
源氏は、夕霧に大宮への「手紙」を託した。
「野分が吹き荒れておりますが、夕霧がおそばに控えております。
どうぞ御安心くださいませ。
申し訳ございませんが、私は失礼いたします」
大宮は夕霧がひどい暴風の中をわざわざ来てくれたことをとても喜んだ、そして有り難かった。
まだまだ子供と思っていた孫を、その時ほど頼もしく思ったことはない。
「よく来てくれましたね。
この年齢になるまで、こんなに激しい野分に遭ったことはただの一度もありません」
大宮はまだ、小刻みに身体を震わせている。
夕霧があたりを見渡すと、前庭に何本も植えてある大小の木々の枝が折れ曲がったり折れて地面に散らばったりしている。
屋根の瓦は、ことごとく強風に吹き飛ばされていた。
祖父(前の太政大臣)の在世中は、あれほど盛んだった三条宮邸の権勢も、いまは訪れる人は数えるほどでひっそりとしている。

