若紫⑩「理想の女」の素材 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

若紫の系図若紫(紫の上)の系図
若紫(紫の上) 光源氏 藤壺 兵部卿宮 尼君 僧都

二条院跡候補地(陽成院跡)二条院跡候補地(陽成院跡)二条院…光源氏の母・桐壺更衣の実家を、桐壺帝が増改築した


兵部卿宮のお血筋()なので、藤壺様とそっくりなのだ」

兵部卿宮藤壺は兄妹である。

ということは、あのいたいけな十歳ほどの少女は、源氏の脳裏を片時も離れることのない藤壺の姪ということになる。


源氏少女を身近に感じて、ますます愛おしくなった。

人柄は上品そうで可愛らしく、素直で小賢しいところは少しもない。

「一緒に暮らして、自分の理想通りに育ててみたい」

源氏は、かねてから望んでいた「理想の女」の素材に出会えたのだ。


少女の身の上をもっと知りたくて、僧都にたずねる。

「それは、お気の毒なことでしたね。その方には、忘れ形見はいらっしゃらなかったのですか」

「亡くなる頃、女の子が生れました。老いさき短い妹(尼君)は、『その孫娘が心配の種』と思い悩んでおります」

源氏は思い当たることがあって、

「唐突な話に聞こえるかもしれませんが、その幼い方の後見人としてをお考え下さるよう、尼君にお話し願えませんでしょうか。

本妻(葵の上)はおりますが、初めからしっくりいかず、ほとんど独り暮らしをしております」


「大変うれしいお言葉ですが、あのはまだ幼稚です。後見して頂くにしても早すぎます。

もっとも、女というものは、だれかに世話をしてもらって一人前になるもの。と相談して、からお返事を差し上げます」

そう応える僧都の言葉のトーンが急によそよそしくなり、表情が硬くなった。

源氏は恥ずかしくなり、話を続けられなくなった。

当時の源氏は、今でいうなら高校三年生の18歳。





源氏物語幻想交響絵巻/コロムビアミュージックエンタテインメント

¥3,780
Amazon.co.jp





理系のための恋愛論 理系脳 v.s. 女子脳 (マイコミ新書)/毎日コミュニケーションズ

¥842
Amazon.co.jp