平家物語の群像 巴③五騎がうちまで討たれざりけり | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

$吉備路残照△古代ロマン-巴粟津の戦い  巴御前、粟津の戦い

平家物語』に登場する女性たちの多くは都の生まれで、なよなよとした非力なタイプである。

男に頼って生きるほかない、か弱い存在として描かれている。

女性とはそういうものだという、『源氏物語』をはじめとする王朝文学の美意識を引きずっているのだろう。


そんな『平家』に、が、義仲滅亡のときに突如として現われ、戦場を荒馬で駆け回っては大の男をねじ伏せる。

しかも、絶世の美女だ。

もし、王朝文学に巴のような男まさりの女性が登場していたら、がさつで醜い大女に描かれるのが関の山だったろう。

ここに、王朝の美意識を卒業しつつある『平家』独自の女性観がある。
         ……       ……

○さればこのたびも、多くの者ども落ち行き討たれけるなかに、七騎がうちまで巴は討たれざりけり。

今度のいくさでも、多くの兵たちが敗走したり討たれたりしたなか、残りの7騎になるまで巴は討たれなかった。


○木曾三百余騎、六千余騎が中を縦さま・横さま・蜘蛛手(くもで)・十文字に駆け割つて、後ろへつつと出でたれば、五十騎ばかりになりにけり。

義仲軍の300余騎は、敵勢6千余騎の中を、縦に、横に、八方に、十文字に駆け破り、敵軍の後方へつつっと抜け出たところ、50騎ほどになっていた。


○そこを破つて行くほどに、土肥次郎実平(どひのじらうさねひら)二千余騎で支へたり。

そこを突破すると、土肥次郎実平が2千余騎で防いでいた。


○それをも破つて行くほどに、あそこでは四、五百騎、ここでは二、三百騎、百四、五十騎、百騎ばかりが中を駆け割り駆け割り行くほどに、主従五騎にぞなりにける。

それも突破して、あちらで4、5百騎、こちらで2、3百騎、また百四、五十騎、さらに百騎ほどを駆け破り駆け破りしていくうちに、義仲主従5騎になってしまった。

○五騎がうちまで巴は討たれざりけり。

5騎になっても、巴は討たれなかった。

   …… 原文に忠実な訳ではありません ……


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