
五月晴れの下、吉備路の心地よい風に吹かれながら自転車のペダルを踏み続けていると、一つの疑問が脳裏を去来するようになった。
吉備津彦命(きびつひこのみこと)のことである。
『古事記』や『日本書紀』、あるいは吉備地方に伝わる『温羅(うら)伝説=桃太郎の原型』によると、吉備津彦命は古代吉備国を討伐するために、大和政権から遣わされた皇子である。
つまり、吉備にとって、まぎれもなく敵将であり、憎んでも余りある侵略者なのだ。
御先祖を、何人殺害したか知れない。
その吉備津彦命が、平成の今なお、吉備津彦神社や吉備津神社などの主神として祭られている。
大和地方からやってきた征服者が、吉備地方において、神として、住民らの尊崇の対象になっているのだ。
理解に苦しむのは私だけだろうか。
そもそも、吉備津彦命は古代吉備国を征服したあと、大和には戻らず、吉備に住み続けたのだろうか。
また、大和国出身ならば、なぜ吉備津彦命を名乗るのか。
どうも得心がいかない。
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