ずっと病んでたけど、電力系統、気象学、天文学、Pythonなど色々な分野を学べたし、電験三種を取ることもできた。

 

散々な目に遭って、セルフコンパッションも意識できるようになってきた。きっと色々と得るものはあった、そう思いたい。

学問で最も時間を掛けたのがアインシュタインの一般相対性理論で、6年ぐらいかけて電磁気学や大学数学と並行してアインシュタイン方程式を導いた。

一般相対論の理解はやりたいことリストに掲げていた項目の一つだったし、今年最後なのでまとめをざっくり書く。(史実のアレンジあり)


相対性理論は特殊相対性理論と一般相対性理論の2つがあり、歴史的には特殊相対論が先に発表された。実際少なくとも数学的には一般相対論よりずっと簡単で、中学レベルの数学知識があれば一通り理解できる。

特殊相対論は等速直線運動を扱い、一般相対性理論は重力を扱う。この言葉も初学者をかなり混乱させるのだが、最終目標をアインシュタイン方程式一つに絞るなら別にいいかも知れない。私が6年も費やしたのはこの辺の事情(特殊相対論では慣性系内であれば加速を扱えるという事)が一因だったが、これについては以降触れない。


■特殊相対論について

相対性理論は「自分と相手」に関する理論である。自分から見て相手がどう見えるか、相手から見て自分がどう見えるかという話に注目する。話に出てくるのは自分と相手だけで、第三者の視点は出てこない。

自分と相手とで視点を変える事を「座標変換」という。これだけならガリレオ・ガリレイが提唱したガリレイの相対性原理でしかないが、アインシュタインの相対論に登場する座標変換は数学的に非常に綺麗な形をしている。先に導いたのは当時物理学の大学者として君臨していたH・ローレンツで、その名を冠してローレンツ変換という。

x'=γ(  x - βw)
w'=γ(-βx +  w)

ガリレオの座標変換ではこんな綺麗な形にはならない。数学的に整っている方が宇宙の真理に近いと考えられる。これは光のスピードが誰から見ても一定値になるという世にも奇妙な実験結果(マイケルソン・モーレーの実験)を原理として得られたもので、式の左辺と右辺を見れば、空間座標xと時刻wが混ざり合っているのが一目瞭然。

それでなくても、光の速さという誰から見ても一定という量があるのであれば、相手の時間が遅れる事は「列車」を使った思考実験からいえるし、地面に設けたスタートラインを使って走る列車の長さを測る事を考えて、地面を基準にして列車の時刻が遅れるのであれば、相対速度に列車の経過時間をかける事で列車の「長さ」も縮む事がいえる(=ローレンツ収縮)。

かつてニュートンは、時間と空間を絶対的なものであって、空間は三次元で、時間はその外側にあるようなものだと考えていたが、アインシュタインによれば時間も空間も一緒に変化する。だったら一緒にして「時空間」と名付けて世界を捉え直そう。世界は一次元の時間軸と三次元の空間軸を一纏めにした四次元の時空間と考えよう。

そしてその基準は宇宙空間を進む光である。マクスウェルが電磁気学で導いていた29万9792m/sという値を持つ「光速度」だ。もともとは光速度が「誰から見た値なのか」という疑問があり、「誰から見ても同じらしい(誤差が認められない)」という世にも奇妙なマイケルソン・モーリーの実験結果を得て、これをアインシュタインが「光速度不変の原理」としてローレンツ変換を得た。光の速さが誰から見ても一定なのは何故かというのではなく、それが宇宙の姿なのだと受け入れたわけだ。

それに加えてアインシュタインは「特殊相対性原理」というものを光速度不変の原理と並んで特殊相対論の原理に掲げた。これは、物理法則は誰から見ても変わらないというものである。何ぼなんでもそのぐらいわかるわいと思うが、これがアインシュタインにとっては大きな関心事だった。それは前の時代にマクスウェルが完成させていた「電磁気学」という物理学にあった。

マクスウェルの電磁誘導で、コイルの周りで磁場を変化させる場合はもちろん電流が生じる。が、磁場の周りでコイルを動かす場合を考えると、磁場は動いておらず、コイルの中の電子が動いた事による「ローレンツ力」で電子が移動して電流が生じた事になる。つまり同じ「電流」という現象なのに説明が異なることになる。同じ現象なのに立場によって説明の仕方が異なる物理学なんてあるのか?これにアインシュタインは大きな疑問を持った。

そこで特殊相対論には、特殊相対性原理という強い思想が盛り込まれている。どの立場から見ても物理法則は変わらない、立場の間には相対速度しかない、特別で絶対的な立場などない。アインシュタインの時代、物理学の二大巨頭だったニュートン力学と電磁気学は特殊相対性原理を満たさなければならない。そのようにして力学と電磁気学を改革し、相対論的力学と相対論的電磁気学が構築された。力学はローレンツ変換を満たすようになり、電磁気学はもともとそういう理論的な構造を持つことが明らかになった。これでめでたしめでたしである。

が、特殊相対論をやっているうちに壁にぶつかってしまった。「ニュートンの重力場方程式(∆φ=4πGρ)」が特殊相対論では扱えない、すなわちローレンツ変換がうまくいかないのである。(ネタバレするとその原因は∆φにあり、時間を座標軸として加えるすなわち重力理論を四次元で考える必要があったのだ)

アインシュタインは1905年に特殊相対論を発表した後、スイスの特許局で悶々とした日々を過ごしていた。しばらく世間の反応が無かったのもあったかもしれないが、重力を扱えない特殊相対論の事も気にしていたのだった。ここからアインシュタインは相対論的な重力理論の構築のために約10年費やすことになる。


■一般相対性理論(考察編)

特殊相対論では、あの偉大なニュートンの重力理論が扱えない事が分かった。しかもそれだけではない。加速も扱えないのだ。正確にいえば「座標系同士の加速」が扱えない。

いや、それはそうだ。そもそもローレンツ変換を導く時、座標系同士が「等速直線運動」する前提で導いている。等速直線運動であれば運動は完全に相対的で、どちらかの立場を絶対的な基準にすることはない。つまりどちらの立場から見ても同じ形式の数式で書けなければならない。ガリレイ変換を拡張して相対論的な座標変換の未知数を求める事を考えると、その要請を満たせるのは一次式しかない。座標系が加速するとどちらかの運動方程式は必ず座標系の加速運動による余分な項が加わってしまう。そうならないように求めたのがローレンツ変換だった。特殊相対論は、互いに静止または等速直線運動する座標系(=慣性系)同士でしか使えない。

慣性系内であれば加速も扱えるが(=相対論的力学)、何だか理論的に美しくないというか、座標系同士でも加速を扱える相対論的な理論は作れないのか。加速も重力も扱えない特殊相対論、どうしたものか。

重力と加速、あるときアインシュタインに電撃が走った。

エレベーターが墜落している間、乗っている客は重力を感じない。そこに窓がなければ、加速による無重力なのか本当の無重力なのかも分からない。といっても潮汐力が働くので区別できないのは僅かの間だけだが、窓のないロケットで無重力空間を1Gで加速していると、本当に加速しているのか1Gの地球上で静止しているのか一体どっちなのか、真の重力と加速運動は局所的には区別できないらしい。

そういえばニュートンの時代、万有引力の強さに比例する質量と(重力質量)、加速のし難さに比例する質量(慣性質量)が何故一致するのかという謎が残っていた。役割が異なる2つの質量が種類によらず完全に一致するのはどういうわけなのか、落下現象について頭を悩ませていた昔の科学者も「質量」という量を奇妙に感じていた。だが、重力と加速が区別できないのなら説明が付く。この両者は区別できなくて当たり前だったのだ。

それを等価原理といい、要は「天体による重力は加速で打ち消すことができる」という、現代だったら割と当たり前の話である。が、この一文にアインシュタインが椅子から転げ落ちそうになったほどの衝撃が隠されている。それは例え重力が存在していても、一瞬だったら加速で重力を消す事ができて、その一瞬だけなら特殊相対論が使えるという可能性だ。一瞬だけというのは先に書いた潮汐力のせいだが、それがもし一般的に成り立つとすれば、何らかのパラメータ(結論からいうとローレンツ因子)を瞬時瞬時変化させながら等速直線運動を繰り返す事で歪んだ時空間を移動することができる。このような座標系を「局所慣性系」といい、特殊相対論を利用して得た何らかの結論(結論からいうとエネルギー・運動量テンソル)を重力場の方程式に使える可能性がある。

そしてもう一つ、重力の存在する場所では時空間が歪んでいる可能性がある。無重力空間に光を放ち、その空間を加速するロケットに光を入れるとする。するとロケットは加速しているので光の軌跡は曲がって見える。ロケットの無重力空間での加速運動は地上で静止しているのと同じなので、地球上や天体の周囲では光が曲がって見えることになる。重力と加速力が等しければ重力質量と慣性質量は等しく、真の重力と加速運動は区別できないのであれば、光が重力で曲げられることになるわけだ。

質量のない光が重力で曲がる?あと光には2点間を最短時間で進むというフェルマーの原理というのがなかったか。光はあくまで時空間をまっすぐ進む、それでも光が曲がって見えるのだとしたら時空間が曲がっているのではないか。歪んだ時空間を直進する光を歪んでいない時空間から見る事であたかも光が曲がって見えるのではないか。

実は「空間」が質量で歪むという結論はアインシュタインよりも前の時代にニュートンの重力場方程式で考えられていた。それがニュートンの重力場方程式だった。が、アインシュタインは空間だけでなく「時間」も歪むと考えた。つまり「時空間」が歪むのだ。ここまでの話を整理すると、

①重力を加速で消すことができる
②質量によって時空間が歪む
③光速度不変の原理はこの先の理論で通用する保証がない

※③の理由はまだ書いていなかったが、時空間が歪むのであれば、そこを走る光はもはや光速度不変とはいえなくなるのではないか、ということである。時空間は空間と時間が一緒くたになったものであって、その外側に時間と呼べるものがないからだ。これらをもとにアインシュタインの重力場方程式(アインシュタイン方程式)を以降導出する。


■一般相対性理論(アインシュタイン方程式編)

時空間が曲がっていても、局所的には曲がっていない。そういう話を数式で書けないとアインシュタインは自分の望む重力場方程式を作れない。アインシュタインは四次元の歪んだ時空間をどう数式にすればいいのか頭がおかしくなるほど考えあぐねて大学時代からの友人だったマルセル・グロスマンに相談を持ち掛けると、当時最先端の微分幾何学である「リーマン幾何学」を君の理論に必要だからと教えてくれた。

リーマン幾何学は歪んだ空間における幾何学を扱う数学で、まずは四次元時空間ではなく三次元空間で考えた方が考えやすい。しばらく読み進めると赤文字で四次元時空間に切り替わった事を示している。まずそもそも歪んだ空間とは何なのかというと、「直線の引き方」が普通とは異なる空間の事で、それが何に対して曲がっているのかというと、「ユークリッド空間」である。次に、歪んだ空間はどこまで細かく見ていっても平面が現れず、最小単位の曲面は正方形ではなく微小な「ひし形」のような平面で構成されている。




幾何学とは図形を描くことであり、図形は点の集合で作られる。点は数学的にはベクトルの先端で示される。であれば、この微小なひし形に沿うようにベクトル演算を定義する必要がある。これを「共変ベクトル」「反変ベクトル」と呼び、ユークリッド空間を基準にして歪んだ空間A,Bを用意し、A,B同士の座標変換を作ると、何と「テンソル」の形になる。テンソルは座標変換に対して形を変えない性質があり、特殊相対論の時に出てきた特殊相対性原理と同じ考えを曲がった空間でも満たせる。これをアインシュタインは「一般相対性原理」と名付けた。まさに一般相対性原理の実現にはテンソルを使うリーマン幾何学が本当にピッタリだった。

リーマン幾何学では得るべき結論が3つある。曲がった空間でも微分できる「共変微分」、空間の曲がり具合を判定する「リーマン曲率テンソル」、曲がった空間に直線を引く「測地線方程式」の3つだ。そこまでの勉強の過程で、空間の形状情報をメモ帳のように纏める「計量テンソル」、重力を空間の歪みとして情報化する「クリストッフェル記号」などの知識は自動的に手に入る。

まず大事なのは測地線方程式だ。計量テンソルを使って空間を表し、最短距離となる線分の方程式を変分原理で作ると、



という形になる。これを測地線方程式といい、空間が歪んでなければ一次関数を解に出す。つまり光はユークリッド空間に沿って直進する事を意味し、光は2点間を最短時間で進むというフェルマーの原理そのものとなる。そこにクリストッフェル記号Γが入ると、それも0とするような軌道が計算される。これが曲がった空間の直線(=測地線)となる。ここから四次元時空間で考えてみる。

測地線方程式は微分方程式で、測地線全体の微小な線分を表す。時空間がどう曲がっていようと微小区間であれば慣性系を実現できて、その慣性系を過ぎたら別の慣性系に乗り換える事を繰り返す要領で、歪んだ時空間に沿った測地線上を等速直線運動し続けている。そのような慣性系は局所慣性系というのだった。こうすることで局所慣性系にいる人はあたかも常に曲がっていない時空間にいるかのような見方ができる。等価原理によれば時空間が重力で歪められていても、ある一点では特殊相対論が使えることがいえたが、その目的はこの時点で達成されている。リーマン幾何学で導いた測地線方程式はまさにそれを言っている。

・「アインシュタインの重力理論の構築では局所的に特殊相対論が使える」


次に、アインシュタインの重力場方程式が大体どんな形になるか予想を付けなければならない。重力理論はニュートンの時代にもあったので、アインシュタイン方程式もニュートン力学的な近似ではニュートンの重力場方程式を再現できなければならないと考えられる。∆φ=4πGρの左辺は重力ポテンシャルの歪み、右辺は質量密度を表すので「質量が空間を歪める」と読める。アインシュタイン方程式もこれに倣って、空間の歪みを時空間の歪みとし、質量はそれに対応する四次元の量としよう。そして両辺は適当な係数kで結び、この係数はニュートン力学的な近似で∆φ=4πGρを再現するように決めればいい。これで方針は決まった。

・「アインシュタイン方程式を、Xij=k・Yijと仮定する」

まず時空間の歪みについては、リーマン幾何学で導いたリーマン曲率テンソルが使える。ただしテンソルには階数という概念があり、後のことを考えて階数を4階から2階に下げておく(エネルギー・運動量テンソルTijが2階テンソルである為)。最終的に「アインシュタイン・テンソル」という曲率を扱うテンソルが得られる。導出過程でアインシュタイン・テンソルは共変微分が0になる事がわかり、今後のヒントになる。

・「アインシュタイン・テンソルGij=Rij-(1/2)gij・R」

次に4次元の質量は「E=mc^2」を応用する。核分裂のエネルギーで有名な公式で、質量とエネルギーが等価であることを主張している。四次元時空間に質量があるとmc^2というエネルギーが存在するので、この公式で示される質量エネルギーを重力源に用いるわけだ。ただこれだけだと4次元の量にはならないが、質量はそれに対して動く立場から見れば運動量にもなる。質量は特殊相対論でローレンツ変換できるように作れて、それがE=mc^2だったが、エネルギーと運動量もローレンツ変換できるようにするには四次元時空間での速度である「四元速度」を使えばよい。こうしてちょうどうまい具合に、3次元空間移動で9成分、4次元時空移動で6成分、残りがさっきの質量エネルギーで16成分となり、4行×4列で4次元の量になる。少し前に書いたように等価原理はリーマン幾何学で実現できて、既にそれをアインシュタイン・テンソルで実現しているので、これに釣り合う量も特殊相対論が使えるはず。そうして得たこの量を「エネルギー・運動量テンソル」といい、Gijと同様、共変微分が0になるという性質を持つ。

・「エネルギー・運動量テンソルTij=ρ・ui・uj」

これでアインシュタイン方程式を作ってみるとGij=k・Tijとなる。あとは係数kを決めなければならない。アインシュタイン方程式は光速度という非常に高速な運動などを扱うが、ニュートン力学ではそこまでの速度は通常扱わない。時空間の歪みもそんなに強くなく、時間経過で変動することもない。よって次の3つの条件で近似を行う。

・計量は殆ど歪まない
・計量は時間変化しない
・エネルギー・運動量テンソルで用いたローレンツ因子γは光速に比べて十分遅い

さらに、ニュートンの重力場方程式∆φ=4πGρの左辺は重力ポテンシャルφの座標による二階微分である。ならばアインシュタイン方程式には計量テンソルの座標による二階微分が含まれているはず。これも後のヒントになる。

これら4つのヒントを使って測地線方程式とアインシュタイン方程式の近似を進めると、エネルギー・運動量テンソルのニュートン近似により計量テンソルの二階微分が間違いなく表れ、ニュートン近似したアインシュタイン方程式と∆φ=4πGρを比較する事でようやく「k=8πG/c^2」という結果が得られる。これで係数kも決まった。

・「係数k=8πG/c^2」

あとは全部の結果を使って方程式を組み立てれば次のようになる。これで一般相対性理論のアインシュタイン方程式が導出できた。エネルギーや運動量が時空間を歪めるという、子供のころ科学雑誌で読んだ一般相対論の解釈はこの式に由来する。



方程式が導けたので実際に解いてみたいが、これらを現実の天体に適用して解くのは非常に難しいという。そもそも微分方程式自体簡単に解けない事が多いし、この2つの方程式は見た目に反して恐ろしい量の項と連立方程式が含まれている。

せめてどこかの項が丸ごと0になってくれれば少しは計算しやすくなるのに。しかしTij=0とすればGij=0になってしまって全然面白くない。

ならば時空間は質量によって既に曲がっているとし、その形状は空間的には数学的に扱いやすい「球状」とし、質量が存在しない部分(つまりTij=0)の時空間の歪みをアインシュタイン方程式で計算するのはどうか。

つまり球状に歪んだ時空間を計量テンソルで仮定し、そこに未知の係数を掛けておいて、これをアインシュタイン方程式でTij=0として解けば、質量が存在しない部分(つまりTij=0)の計量テンソルが得られる。この計算も非常に長くてA4ノート10ページ以上使ったが、最終的に答えは次のようになる(=シュバルツシルト解)。

ds^2=-(1-a/r)(cdt)^2+{1/(1-a/r)}dr^2+r^2dθ^2+r^2sin^2θdφ^2

式に含まれているaはシュバルツシルト半径という量で、a=2GM/c^2となる。つまり天体の質量Mによって決まる。無限遠から見た人にとって観測者がaで静止するとすれば、dr=dθ=dφ=0となり、ds^2=-(1-a/r)(cdt)^2。観測者にとっての時間経過(=固有時)を考えると(cdτ)^2=-ds^2なので、(cdτ)^2=(1-a/r)(cdt)^2。

観測者がシュバルツシルト半径にいる時を考えるとa=rなので、(cdτ)^2=0×(cdt)^2となり、計算を進めてcdτ=0×cdt。ここでtが何だったかというと球状時空間の経過時間なので、原点から無限遠にいる人から見てdt=1秒が普通の1秒に観測される時、シュバルツシルト半径にいる人の時間はdtが幾ら経過しても固有時dτが進まない。つまりdτ=0なので時間が完全に止まってしまう事になる。

何年か前にスカイツリーの展望台と地上とで時間経過が異なるという実験結果が出たのは、重力場が強い側では時間が相対的に遅れるという一般相対論の結果からいえるのだという。

シュバルツシルト解があると太陽の周りで光が1.75秒角曲げられる事や、水星近日点移動のニュートン力学との誤差が43秒角である事を一般相対論的な計算で導く事ができる。また、重力はニュートンが考えていたような瞬時に届くものではなく、時空間の歪みが光速度という有限のスピードで伝わる波動(重力波)である事も数学的に導かれる(=重力波方程式)。

 

昔から気になっていた話題を計算で理解できて面白い。多少なりともアインシュタイン方程式を使えて楽しかった。