平成28年理論問15bはΔ線路の断線箇所(×部分)の電圧を問われており、

前知識を一つ持ってないと上手く解けない。

 

 

断線すると電流が流れないので×印の右側は点Pの電位に等しいのはわかる。これを三相ベクトル図で求めないと答えに辿り着けず、勘が働けば後述の三相ベクトルで回答できる。ただしこれを考えた事はあまり無かった。

 

すべての線路に抵抗があり、その抵抗値が等しくrと与えられているのは理由がある。図によるとa,c間の電圧の基準は端子aで、基準電位aに対するa,c間の電圧を考えた時、その半分の電圧が点Pの電圧といえるのだ。

 

ただし条件があり、抵抗rの配置が点Pに対し「左右対称」でなければならない(なので抵抗値がすべてrとなっている)。確かに言われてみればa,cの電位差Vは固定なので、端子aに対する点Pの電位はV/2にならないとおかしい。

 

端子a,cとΔ結線との間の線路抵抗rを等分配した回路はあまり見慣れておらず、こんな細かい事まで聞かれなかった。この部分の計算を一例で試すと次のようになる。

 

 

赤文字はすでに与えられた抵抗値で、全て1Ωと仮定する。右端の電流は1Aと仮定する。電源の負極側を電位0V(基準電位)とし、各部の電圧と電流をオームの法則で求めていくと①~⑩の順に進んでいった。最終的に電源電圧(左端の電圧)は8Vと求まったので電位0V(点P)と点Qとの電位差は3V+(2V/2)=4Vとなる。確かに電源電圧8Vの半分になっている。このような理由で過去問の点Pの端子cに対する電圧も線間電圧Vの半分なのだ。

 

あとは点bの電圧を三相ベクトルで考えると下図の点Bとなる。したがって下図の点Aから点Bまでの長さが問題の答えとなる。相電圧Ebは線間電圧Vの1/√3、中性点から点Aまでの長さはVcaの1/2を底辺とする直角三角形の辺の一部であり三平方の定理で求められるので、各々を足し合わせればようやく答えに辿り着ける。

 

 

最初の図の点Pの電位を求める時、端子cに対する線間電圧の半分である事を知っていないとこの問題はかなり梃子摺る。これがaの出題ではなくbの出題だったのがまだ幸運レベル。三相回路の問題でこんな事まで考えさせられるとは思わなかった。

 

 

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これ以上の難問が平成27年理論問17bにある。

解説を見れば理解できるが本番で解法を閃く自信はない。

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