「池袋御嶽神社」 | 東京神社めぐり

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苦労をとり除いてくれる神社

池袋御嶽神社本殿
池袋御嶽神社本殿

4月になって新入社員や異動で新しい部署で働き始めた人も多い事だろう。私は仕事がら転勤もなければ異動すらないが、はじめてあう人たちと即座に仕事を始めなくてはならないことも多い。人付き合いというのは、本来の仕事とは関係ないところで気を遣わされる部分である。そんな訳で今回紹介するのは余計な「苦労を除いて」くれる「池袋御嶽神社」を紹介しよう。

○武田の落武者が創建した?

大祭直前の写真で景色がビミョー
大祭直前の写真で景色がビミョー

「御嶽神社」と言っても、他の「御嶽」とは一線を画している。というのも元々は「三嶽神社」と表記していたお宮が「御嶽」に転じたためである。祭神が倭建命(ヤマト“タケ”ルノミコト)、神“武”天皇(ジンムテンノウ)、“武”甕槌命(タケミカヅチノミコト)と“タケ”が3人だったのでその名になったのだろうか? いずれも武神であり、災難除・厄除のご利益がある神さまが3柱集められた社だ。創建は定かでないと言われているが、天正年間(1573〜1592)ではないかとされている。伝として、「武田勝頼の家臣団が落ち延びたこの場所で神宝を祀ったのが始まり」という由緒書きも残されている。武田勝頼は、甲斐の武田信玄の息子であるが、何より有名なのは織田信長と戦った「長篠の戦い」であろう。今では創作と言われている「鉄砲三段撃ち」により織田・徳川連合軍が勝利したと教科書に載っていた、かの戦いである。私は仕事で、山梨の勝頼ゆかりの場所をいくつも回ったのだが、歴史上の人物にあまり同情をしない私でさえ、とても気の毒に思った武将のひとりである。歴史で語られている以上に力のあった人なのではないかなぁ、と漠然と感じた。織田信長が残酷だ、という史実のひとつにもなっているエピソードであろう。

○ヤマトタケルの厄払い

境内のフクロウ
境内のフクロウ

そんな神社がなぜ、苦労を除くのだろうか。ひとつは、ヤマトタケルの草薙剣に由縁がある。草薙剣は天皇家の三種の神器(鏡・玉・剣)のひとつである。鏡(八咫鏡/やたのかがみ)は伊勢神宮、玉(八尺瓊勾玉/やさかにのまがたま)は皇居の吹上御殿に、剣(草薙剣/くさなぎのつるぎ)は、名古屋の熱田神宮にそれぞれ祀られている。草薙剣の話だけでもブログ何回かに分けられるくらいの話があるが、今回はその草薙剣を使ってヤマトタケルが野火から逃れた、という逸話から、ヤマトタケル=災難除・厄除・防火のご利益があると言われているというところで留めておこう。
もうひとつは、この神社が立脚する「池袋」という地名に由来する。イケ(生け)フクロ(不苦労)である。ダジャレかぁ、などと侮ってはいけない。神社のご利益の多くは、こういったところから来ている。サザンオールスターズも「愛の言霊」と歌っているではないか。「言霊」という概念は、日本にだけある文化ではないらしい。加えて、(鳥類の)フクロウは、福籠とも書けることから、福を呼ぶ神とも知恵の神さまとも言われる生き物なのである。境内にはしっかりと、フクロウの像が鎮座している。

 

○部下に悩む上司・先輩にもおススメ

子育稲荷社
子育稲荷社

それで思い出したが、このブログのトップ画像(入れ替わる画像のうちのひとつ)にみみずくの画像がある。これは、雑司が谷鬼子母神の入口にあるモニュメントなのだが、「すすきみみずく物語」のみみずくとして飾られているものだ。だが、実は鬼子母神と池袋御嶽神社にはつながりもある。それは、どちらも法明寺の末社であったということ。つまり、2社は兄弟みたいなものである。そのせいなのか、池袋界隈は、みみずくとよぶべきなのか、フクロウとよぶべきかのモニュメントにあふれている。
忘れてはいけないことがもうことつ。こちらの境内には、「子育稲荷社」がある。小さいながらも七つの鳥居がかかり、白い願掛けきつねが所せましとぶら下がっている。これも、鬼子母神のイメージにつながるものだ。こちらでは子どものお願いだけではなく、身近な人について(面倒をみていたり世話をやいている人→部下なども含む)の祈願が多いのだとか。新入社員に悩んでいる上司にもおススメのスポットである。

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池袋は、東京大空襲で焼け野原になったところでもあるが、ここ「池袋御嶽神社」は、戦火から免れたのだとか。そのためますます厄除け、災害除けのご利益がある神社として、多くの参拝者を集めてきた。池袋の駅前で、お祭りが催されていても深く考えていないだろうが、「池袋御嶽神社」は池袋の氏神さまである。境内はあまり広くはないが、力の強い神さまが3柱祀られている骨太神社であることは間違いない。昨年、境内入口の桜の大木が、病気で枯れてしまったようだが、そのせいか駅前の大きな店舗がいくつか閉店してしまうらしい。氏神さまの力が落ちるとはこういうことを言うのだろう。だが、古いものが去り、新しく出発するものが生まれる時期である。池袋界隈が生活圏の方々は、一度是非足を運ばれてはどうだろうか。