近所のスーパーで買ったお花が可愛くて。
そんなお花を見ると母を思う。
母は花が好きな人だった。
今もブルーミーで、お花を絶やさず送ることにしている。
帰省した時にはよく一緒に庭仕事もした。
お花屋さんを回ったりもした。
母の手作りポプリは、それはそれは美しくて。
よくみんなにプレゼントしたりしたな。
花を見ると、これはポプリになるかどうかをいつも考えた。息子たちも道端のお花をおばあちゃんに摘んで帰ったりもした。思わぬ花がかわいい色を演出したり、えも言えぬ形になったり。
今は遠い思い出。
認知症のために施設にいる母とは、
時々思わぬ踏み込んだ会話ができたりもする。
そんな時には、懐かしさと安心とでもきっとずっとは続かないであろうこのやりとりへの寂しさのような気持ちと両方がある。
もっともっと前のあの時のやり取りをもっと味わっておけばよかった。
あの時の小言をもっと聞く耳を持って聞けばよかった。
あの時の喜びをちゃんと伝えておけばよかった。
ちょっとした後悔が心を重たくしてる。
こんなふうに思ったきっかけは最近よく口にする母の後悔の言葉だった。
子ども時代の私への接し方、子育てへの後悔を口にする母。
その後悔を受け止めつつ、私もやっぱり子どもたちへの後悔の思いはあって、そんな自戒の気持ちも込めて、
悲しみも後悔も人生の味わいになるよね、
子どもにごめんねーって思う子育ては悪くないと思うよ、と話す。
悲しみのない人生があるとしたら、それはもしかしたら本気で生きてないってことなんじゃないかな。
そういうと、確かにそうだね。
お母さんもそう思う、と返してくれた。
私は優しくしてもらった思い出もたくさんある。
お母さんは怒ってばっかりだったっていうけど、
ひどいことをしたと繰り返すけど、
確かにたくさんの優しさも受け取っていたんだよ。
私は怒られた記憶よりしてもらったことの方がたくさん覚えてる。
何度もそう伝える。
それなのにあなたは優しく育ってくれて
お母さんとは違って優しい子に育ってくれて。
思い出を語る時に何度となく私の「優しさ」について話してくれる。
自分は向こう気が強くて可愛げがなかった
それなのにあなたは小さい頃からやさしくて、
どこか影があるのがなんとなく心配でかわいそうだったと。
なんだか、元気な時にはこんふうに言われたことはなかったんだけど、どう受け止めていいのか。
私は時に優しいことがいけないことのような気もしていたけど、
誤解を恐れずに言えば、
今となってはそれが私の特徴だろうとは思ってる。
なにも、「いい人」と言いたいわけではない。
不義理もするし、人を傷つけたり、ずるいことも考える。
優しさを表現できない時もたくさんあるけど、
ただ脳内のOS にはやさしさの回路が組み込まれている。
これが私の性質なんだろう、そんな感じ。
やさしくても間違うし、嫌われたりもする。
それでいい。
そんなところに落ち着いてきたこの頃。
そうなんです、優しいんですよ。
魚座、卯年、A型、動物占いは尽くす猿、適応タイプは感情型。
はい、そうです、優しいですが何か？という気分(笑）
優しさは単なる特徴の一つ。
あんたが憎たらしかった。
という本音を聞いて、胸に棘が刺さったような気がしたこともあったなぁ。
お母さんの望む通りの私になるために頑張ってきたのに、憎いだなんて驚きだった。
感情型の私にとって憎まれるなんて、それは身を切られるように辛い。好かれるために生きてきたのに。
だけど、憎たらしくても自分とは違っても、そんな私を受け入れてもくれたんだろうな。
そんなことをやがて毎日の会話から受け取ってきた。
そうだ、親だって未熟な人間。
子どもに対してそんな感情を持つこともあるんだろう。それは決して母の真実ではない。
わからなくなりそう、
わからなくなってしまいそうだという母に
とにかく最低朝と夕方に電話する。
電話の出方がわからなくて少し時間がかかることもあるけど、なんとか、なんとかつながってる。
と思ってたら、
ちょうどさっきの電話はかなりトンチンカンでした。
会話が噛み合わず、どうにもならない。
もう電話に出ることも難しくなるのだろうか。
わからなくなる前に神様がやりとりをプレゼントしてくれたのかな。
あんなに深い話ができたのはほんの2、3日前なのに。
それが脳血管性の認知症の「まだら」な部分なのだろう。症状は一定ではないということなんだな。
すべてを受け入れていくこと。
なんだか試される日々だなぁ。
それでもまた明日はやってくる。
それでもまだ私の名前を呼んでくれるうちに早く直接会えるようになりたい。