女「わたくし、まだ受けたことないんです。亭主はもちろんのこと、わたくしのまわりでも受けている人いないんですよ。お願いです。わたくしにも受けさせてくれませんか」
男「ええ……おっしゃりたいお気持ち、よくわかります」
女「それでどこに行けば受けられます?」
男「あの無作為ですから」
女「いつ行けば受けられます?」
男「でも無作為ですからね」
女「……じゃあ、あなた、こうしませんか。わたくし、街で急に調査の方とばったりお会いしたら、どきまぎしてしまいそうで。でも、これでも一日に多いときには4紙もの新聞を読んではおりますの。とし江おばさんに『毎日どれだけ暇なの』ってからかわれたりするんですけど、でもね、やっぱり世論にわたくしの声をくわえていただけるとなれば、それくらいのことはしとかなくちゃ、と思いますの。ですから慎重にお答えしなければと思いますし。あらかじめ質問の内容を教えていただくわけにはいきません? 次におこなわれるのは、いつですの?」
男「あの、おっしゃりたい気持よくわかりますよ。しかし調査は無作為に行われるものですからね。……わかりました。せっかくいただいたお電話です。こうしましょう。『読者の声』のコーナーに、奥様のご意見を掲載させていただくのはいかがです?」
女「ガチャ(電話の切れる音)。ツー、ツー、ツー」
男「……」
2011.5.28 retouched