「フェンスごしのコリー」
昔、近所のコリー(犬)をよく撫でていた。
いろんな犬に吠えられることはあるけれど、何故か不思議とコリーには一度も吠えられた経験がない。
初めて出会ったのは、公園で主人に連れられている時だ。
よくブラッシングされている毛を風に漂わせ、ゆったりとした足取りで階段を下りてくるコリー。
近づいてくると、その優雅さに気恥ずかしさをおぼえた。犬相手なのに。
自宅までの帰り道、門に近づくと、ふわりと長い毛をなびかせて裏庭からあらわれるコリー。
アルミフェンスの間、長い鼻をスッと差しだしてくれる穏やかなコリー。
まつげの長いコリー。
きれいな鼻筋をすりすりと摩ると、目を閉じているコリー。
私がコリーを撫でながらいつも思うのは、
自分が決してコリーを飼うようにはならないだろう、ということだ。
それはいつの間にか自分に染みついた生活や習慣がそうはさせてくれない、
という気がしてしまうから。
悲観でもなく予感でもなく確実なこととして。
その思いは手ざわりにも似て。
大好きなコリー。
いつまでも撫でていたいコリー。
2011.8.22 mondnay