夢を見た。
おそらく……高校の頃の夢である。
おそらく高校の頃と言ったのは、実際にわたくしが通っていたのは男女共学の高校だからであり、それがなにゆえか、夢の中では男子校になっていたからである。
(わたくしホモじゃありませんからね。もちろん戦国武将のようなバイでもない)
教室の入り口付近、廊下にたむろしている数人の男子生徒達のほとんどが、不思議と律儀に首までジッパーを上げ、ウインドブレーカーを着こんでいた。
そこに女子生徒の姿は、一人もない。
校舎内であるにもかかわらず、どの男子生徒もみな、寒そうに身動きするたび、ナイロン地のこすれる音をカサカサといわせていた。
そして全員が全員、笑顔を浮かべているのだ。
その笑顔の中、わたくしの目がとまる。
唯一、むき出しの制服姿(ブレザー)でいたのが、かつての一番の友人だったからだ。
(友人の顔は、実際に高校時にいた何人かの友人の顔から顔へ2、3回ランダムに変わるが、夢の中では、それでも同一の友人として扱われる)
そこで、わたくしは、はじめて気がつく。
周囲のほとんどの生徒と同じく、自分がウインドブレーカーを着こんでいることを。
そのことが、わたくしの気持ちを、ほっとさせるのだ。とても。
わたくしは、再び、唯一ウインドブレーカーを着ていない友人に目をやると、もやもやした(むらむらではなく。ここ重要)感情をおぼえる。
そして気遣いなのかわからないまま、いつもどおりにその友人に声をかける。
自分自身に、ほっとした、という感情の動きがあったことだけは、悟られないようにして。
声をかけられた友人は、ウインドブレーカーを着こんでいる他の男子生徒と同じく、ずっと笑顔を浮かべたままだ。
短く刈り込んだ髪、少し日に焼けた顔に白い歯を見せ、寒さを感じている様子なんて微塵も出さない。
そして場面はうつる。
学校帰り、わたくしは、友人に頼まれ、二人してスポーツ用品店にむかう。
(どうやら、わたくしは、この夢の中で、かなりのウインドブレーカー通という扱いらしい)
店は決してデパートのスポーツ用品店売り場のような、きれいな場所ではない。
どちらかと言えば、アメ横の雑多なスポーツ用品売り場に近いイメージだ。
店内は薄暗く、ハンガーにかけられたウインドブレーカーが二段に所狭しと隙間もないほどびっしり並んでいる。
かけられているウインドブレーカーの色は、校舎内で男子生徒達が着ていたものと同じく、黒や紺、もしくはその色地に、慰め程度に少しばかりの緑やピンクなどの明るいラインが入ったものである。
色あざやかなウインドブレーカーなんて、一つも置いてない。
友人をその店に案内した、わたくしは、何故か少しだけそのことを申し訳なく思っている。
膨大な、どれもこれも似通ったウインドブレーカーの並びを、友人と二人、目でなぞるように見ていく……。
制服姿(やっぱりブレザー)のままの友人は、ときおり振り返り、笑顔を見せてくる。
その向けられる笑みが、うれしさゆえなのか、困り果てた末の笑みなのかは、わたくしには、わからない。
……友人のウインドブレーカーは、なかなか決まらない。
試着もしてくれない。
そして決まらないまま……夢から覚めた。
何だよ、この初夢。
※忠実に書こうとすればするほどきわどくなるので、後ほど削除すると思います。
2012.3.5 polished